広島 4カードぶり勝ち越し 遠藤 三度目の正直で先発初勝利 佐々岡監督「よく踏ん張った」

[ 2020年7月13日 05:30 ]

セ・リーグ   広島7―2中日 ( 2020年7月12日    ナゴヤD )

<中・広>6回を1失点に抑え、今季初勝利を挙げた遠藤(撮影・椎名 航)
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 広島は12日の中日戦に7―2で快勝し、4カードぶりの勝ち越しを決めた。遠藤淳志投手(21)が序盤のピンチで粘り、6回を5安打1失点の好投。待望の今季初勝利をプロ初の先発星で飾った。打線も西川、鈴木誠の中軸勢が計5打点を挙げるなどして効果的に援護。14日からは本拠地にファンを迎えて巨人3連戦。この勢いで一気に上位浮上だ。

 背水の陣。重圧を乗り越えてつかんだ白星は格別だった。敵地でのヒーローインタビュー。待望の今季1勝目を先発初勝利で飾った遠藤は「みんなと野球をして勝ちたかった。やっとチームの勝利に貢献できた」とし、笑顔で充実感に浸った。

 序盤からピンチの連続だった。最大のそれは2点優勢の3回だ。無死満塁でビシエド。窮地で、しかし、前回の反省が生きる。「焦ってはダメ」とマウンド上で深呼吸し、フルカウントから腕を振って決め球のチェンジアップを低めに投じた。

 結果は右犠飛。1点差となり、なおも1死一、二塁で遠藤は心のギアをさらに上げる。「一番力が入った。切り替え、強い気持ちで投げられた」。ビシエドを抑えても緩めず、続く木下拓は空振り三振、京田も右飛に斬った。成長だった。

 前回5日の阪神戦の恥辱を記憶に刻む。7四死球を与えた上に、3発を浴びて5回8失点KO。追い込んで腕を振れず、甘く入った変化球ばかり痛打された。「反省しながら思い切って腕を振れ」。石原慶ら野手のアドバイスが胸に染みた。

 同じ失敗は許されない。この間のブルペン入りは2度。左右の打席に打者を立たせ、ストライク、ボールを設定して四隅に投げる練習を繰り返した。たとえ甘くなっても、腕を振れば打ち取れる―。よすがを求め、必死に流した汗は報われた。

 愛弟子が苦しみながらつかんだ先発初星。佐々岡監督は「3回のピンチを1点でしのいだのが…ね。よく踏ん張った。勝ちが付けば次にもつながる。尻に火がついた面があったけど、プレッシャーの中でよく頑張ったと思う」と目を細めた。

 「重圧は結構感じていた。その中でも投げないといけない。ローテーションに入れてもらった責任と自覚を持ち、反省点を修正しながらまた準備したい」

 しなやかさを持つ高卒3年目の大器。先発として、飛躍への一歩を踏み出した。
(江尾 卓也)

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2020年7月13日のニュース