マツダでの有観客試合再開を目前に控えて――担当記者が非日常で体感する広島県民とカープの絆

[ 2020年7月13日 09:00 ]

一般開放されたマツダスタジアムで練習するナインを背にスマホで自撮りする親子連れ(撮影・奥 調)
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 非日常が訪れる度に、広島県民とカープとの切り離せない関係性に気付かされる。広島は、開幕延期期間の5月21日からの計9日間、マツダスタジアムの観客席を開放した。一般客の練習見学を認めたのは、12球団で唯一だった。ある家族は観客席で手作り弁当を広げ、双眼鏡を片手に新人・森下を追いかける女性ファンもいた。コアな野球通だけではなく、家族連れが多く来場したのは、カープが広島県民の日常に入り込んでいる証のように見えた。

 東広島市在住の40代男性は、「子どもは家で野球ごっこばかりでストレスだったと思う」と球団企画から家族の笑顔を取り戻そうとした。「ご飯を食べるときのテレビは、カープの試合がついているのが当たり前だった。仕方ないけど寂しいですよね」(広島市在住50代男性)。シーズン前の食卓は、会話が弾まない日もあっただろう。

 本拠地の一部開放について松田一宏オーナー代行は、「自粛疲れがある中で気分転換ができるような機会をつくりたかった」と説明した。コロナ禍にある批判も想定される中で、地方球団としての役割を全うしようと手を尽くしたのだ。

 振り返れば、2年前も広島から球音が消えた。18年7月、西日本豪雨によりマツダスタジアムでの試合は一時中断された。16日ぶりの本拠地開催だった同20日の巨人戦に来場した女性が説いた。「楽しいことがないと頑張れないじゃないですか。それが私たちにとっては、カープなんです」。同戦で劇的なサヨナラ本塁打を放った下水流は、殊勲のお立ち台で「大変ですが、ともに戦っていきましょう」と語りかけた。失意の広島は、カープを通して少しずつ笑顔を取り戻したようにも見えた。

 そして、14日の巨人戦からマツダスタジアムにコイ党が戻ってくる。まずは、年間指定席購入者から来場を認められ、最終的には2万9000人への拡大が予定される。現地観戦を待ち切れないコイ党の姿が目に浮かぶ。広島県民とカープの絆の強さを再認識する今季となりそうだ。(記者コラム・河合 洋介)

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