阪神・岩貞155日ぶり白星 6回3安打無失点快投 逆転CSへキーマン復活

[ 2019年9月2日 06:30 ]

セ・リーグ   阪神2―0巨人 ( 2019年9月1日    甲子園 )

6回、マウンドで笑顔を見せる岩貞(撮影・北條 貴史)
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 阪神・岩貞祐太投手(27)が1日の巨人戦で6回を3安打無失点6奪三振に抑え、3月30日以来155日ぶりの2勝目をつかんだ。約4カ月以上ぶりの1軍マウンドで二塁を踏ませない復活の71球。3位・広島に2ゲーム差へ接近し、逆転でのクライマックス・シリーズ(CS)進出へ勢いは十分だ。

 緊張は“今季最大”レベルだった。「3月の開幕の時よりも緊張してしまって」。岩貞にとって126日ぶりに上がった1軍のマウンドで平常心を保つ方が難しかった。

 「亀井さんにヒットを打たれて、地に足を付けて投げられた」

 初回先頭の亀井に右前打を許したことで硬直していた全身から一気に力が抜け、腕の振りは鋭さを増した。無死一塁を切り抜け、2回以降は付け入る隙を与えない。3回は亀井、坂本勇らを3者連続三振に斬り、4回も中軸3人をわずか9球で料理。6回まで散発3安打に抑え、二塁さえ踏ませなかった。

 「甲子園のお客さんの前で投げるために必死にリハビリして戻って来られて良かった」

 苦闘の4カ月だった。インフルエンザ感染で登録を外れたのは5月4日。自宅療養から2軍に戻り、実戦復帰を予定した5月29日の2軍戦で登板前のキャッチボールで異変が起きた。球団からは背中の張りで軽症として発表されたが、激痛が走ったのは右脇腹。診断結果は肉離れで、7月中旬まで復帰がずれ込んだ。

 「まだ全力で腕を振れなくて…」。ブルペン入りしても再発を恐れて自然に力をセーブしてしまうことも少なくなかった。いら立ち、焦りが募る中で思い返した言葉があった。

 前年10勝から勝ち星が半減するなど不振に終わった17年秋のキャンプ。当時33歳ながら若手に混じってガムシャラに汗を流していた西岡と宿舎の大浴場で湯船につかった。「苦しい時、悩んでる時こそ成長するチャンスやねんぞ。頑張れよ」。響くもの、伝わるものがあった。

 あれから2年。苦しい時こそ、悩んだ時こそ…長い時間を過ごしたファームではクイックモーションなど投球の細部を磨き上げた。無走者の状況でもクイックを交えて打者を惑わせ、「ファームでやってきたことなんで。いいところで小技を出せた」と力強くうなずいた。

 3位からの2差は1・5差だった7月24日以来の接近。「1ついい勝ち方をしたので、より気合を入れて残りの試合も腕を振っていきたい」。帰ってきた背番号17が逆転CSへのキーマンであることを示す復活の夜だった。(遠藤 礼)

 ≪CS出場圏内に2ゲーム差≫阪神は巨人に連勝して、長期ロード明け2カード目で初の勝ち越し。広島が敗れ、CS出場圏内の3位には2ゲーム差になった。7月24日の1・5ゲーム差以来の接近で、8月9日に今季最大の6・5ゲーム差(3位=広島)となって以降、チームは10勝7敗1分けの貯金3。広島が7勝13敗と大崩れする間に詰め寄った。7月16日以来の3位には最短で5日に復帰が可能だ。

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2019年9月2日のニュース