芝草宇宙氏、夏の甲子園3回戦を展望 仙台育英に「“すえ恐ろしさ”感じる」

[ 2019年8月16日 08:15 ]

芝草宇宙氏
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 第101回全国高校野球選手権は16日から3回戦が行われ、8強が決まる。

 高校時代に帝京のエースとして春夏3度の甲子園に出場し、87年夏にはノーヒットノーランを達成。プロでも通算46勝を上げた元日本ハムスカウトの芝草宇宙氏が、今後の展開を分析した。

 まず、ここまでで一番目を引いたのが仙台育英の戦いぶりです。

 やろうとしていることが明確なのが見ていてわかるし、次はどんなプレーだろうとワクワクする。須江監督だけに「すえ恐ろしさ」を感じます。

 守備が非常に大胆で1人の打者に対し、徹底してアウトとりにくる。また、投手も1年生(笹倉や伊藤)に負担かけていない。あれだけの投手がいれば頼りたくなるところですが、考慮しながら使っているのが見えます。選手を育てながら勝つにはどう戦わなければいけないかを考えた上でのさい配が素晴らしいと感じます。

 走者一塁の場面、エンドランでちゅうちょなくスタートしていました。打球判断なども相当練習しているだろうなと。強豪校でさえ甲子園はミスは起きるもの。練習で数多くケース想定をして、かなり教えられている印象です。場面を細かく想定し、何度も反復してやっているからこそ選手も本番で力を発揮しているのでしょう。

 また、須江監督は作戦のカードの使いどころが的確。スチール、エンドラン、点差を踏まえた守備隊形もそうです。さらに、良い意味でレギュラーを固定しきっていない。途中出場した1年生捕手の木村君が甲子園の大舞台でワンバウンド止める仕草をしていたり、入念な準備をしている。どんな練習をしているのかとても興味があります。東北に初の大旗が来るのではないかと希望を持たせてくれるチームです。

 八戸学院光星の打撃も非常に良いですね。履正社はセンバツで星稜に敗れています。あの時の奥川君はベストピッチだったのではないかと思いますが、その奥川君に対し、打者の対応を見ていると相当能力が高い打者が多かった。順調に育ってきている印象です。

 今大会はビッグイニングが多い。今はそういう野球が主流になっていますね。1点を取りに行くよりも、押せ押せの攻撃。やはり夏は1点を取りに行く野球では勝てない。複数得点をとりに行かなければなりません。夏は投手の疲労度も高くなってきて投球が大ざっぱになることもあり、攻めやすいという側面もあるかもしれません。足を使うなど積極的に動けるチームが上位に進む可能性が高いでしょう。関東第一や東海大相模などが当てはまります。

 星稜は17日に智弁和歌山と対戦します。智弁和歌山は押せ押せの打撃が持ち味。そこに対して奥川君がしっかり自分の投球ができるかどうか。カギは序盤です。智弁和歌山打線が高めの球をとらえられるかどうか。1日の中止になったことは大きい。そこも見どころの一つです。

 ここまで来ると実力は互角です。だからこそ監督の指導のもと、選手が忠実に野球できているかがポイントとなってくるでしょう。

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2019年8月16日のニュース