大物FA選手が“浪人生活”…メジャー特有の契約システムに批判の声も

[ 2019年6月8日 09:00 ]

カブス入団に笑顔のキンブレル(左)=AP
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 カブスが通算333セーブのクレイグ・キンブレル投手(31)と、3年総額4300万ドル(約46億4400万円)で契約合意した。昨年はレッドソックスで63試合に投げ5勝1敗42セーブ、防御率2・74で、ワールドシリーズ制覇に貢献したメジャーを代表するクローザー。昨季終了後にFAとなっていたが、ここまで所属先が決まっていなかった。

 どの球団も喉から手が出るほど欲しい存在のはずが、なぜ新天地決定がこれほど先延ばしにされたのか。大きな要因はメジャー特有の契約システム、中でもクオリファイング・オファー(QO)にある。

 12年に導入された制度で、FAとなる選手に対し、所属球団は一定額の年俸(メジャー上位125選手の平均年俸)での単年契約をオファーできる。これを拒否してFAとなった選手が、移籍先となる新球団と契約すると、獲得した新球団は旧所属球団にドラフト指名権などを譲渡しなくてはならない。

 16年オフの新労使協定締結後も、マイナーチェンジが加えられQOは残った。移るドラフト指名権は、球団が総年俸の「ぜいたく税」を超えているか否かなどで細分化され、海外若手選手契約金枠を失うこともある。以前と違い1巡目指名権は対象から除外されたが、いずれにせよ2、3巡目など上位指名権を失うのは痛手だ。

 これが、ドラフト会議が終われば、獲得球団は指名権を失うことはなくなりQOの負の呪縛は解ける。メジャーの今年のドラフト会議は3日から3日間開催されたが、終了と時を同じくしてキンブレルの新天地が決まったのはそういう理屈だ。同じくQOを拒否し、未所属だったダラス・カイケル投手も、キンブレルに1日遅れる形でブレーブスと契約に合意した。

 メジャーでもFA補強よりも、ドラフトも含め若手育成を編成の柱に据えるチームが増えてきた。加えて契約合意が遅れると、金銭条件はどんどん下げられ、キンブレルらのように一時的にプレー機会さえ失いかねない。キンブレルの契約では、今季19年分は既に開幕から2カ月以上経つため1000万ドル(約10億8000万円)。フルシーズンとなる来季からの2年間は年俸1600万ドル(約17億2800万円)となる。

 過去にも13年6月にドラフト終了翌日にケンドリー・モラレス内野手がツインズと契約するなど、同様のケースはあった。才能ある選手を無用に浪人させかねない、という批判の声は常につきまとう。(記者コラム・後藤 茂樹)

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