広島・大瀬良大地 リスク回避の投球術で初タイトル狙う

[ 2018年8月20日 10:30 ]

広島・大瀬良
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 【宮入徹の記録の風景】独走広島の立役者といっていいだろう。大瀬良大地投手(27)はここまで20試合に登板し、13勝5敗、防御率2・31。勝利数、防御率ともリーグ1位に立っている。昨年まで投手主要部門のタイトルはなし。今季は自身初のタイトルが手に届くところにある。

 広島は15日に点灯した優勝へのマジックナンバーを28とし、球団初の3連覇へひた走っている。にもかかわらず、投手陣で2桁勝利を挙げているのは大瀬良だけ。ジョンソンが9勝で続くが、昨年15勝の薮田は今季2勝、同じく12勝の岡田は6勝止まり。大瀬良の活躍がなければ、独走態勢は築けなかったに違いない。

 今季の大瀬良は被打率が・208でリーグ1位。ただし、走者得点圏では・292でリーグ8位と数字を悪くしている。それでも防御率1位を保っているのは走者を簡単に二塁以上に進ませないから。今季得点圏で打席を迎えたのは延べ81人。セでは阪神・秋山の92人を抑えリーグで最も少ない。

 規定投球回に達して、走者得点圏での対戦打者数が100人未満は最近では15年に巨人・マイコラスが91人で記録しているが、過去60年のセ・リーグを調べてもわずか10人しかいない。さらに、今季の大瀬良は満塁になったのがたった4度だけ。それも3打数ノーヒット、1犠飛がその内容。ピンチを未然に防ぐことによって、傷口を広げない投球を実践していることが分かる。

 もうひとつ、大瀬良の長所は、立ち上がりの安定感。今季先発20試合で初回の失点は5点。うちセ・リーグの球団相手では17試合でわずか2失点と驚くほど崩れない。初回の被打率は・162と低く、両リーグ規定投球回以上の投手24人の中では日本ハムのマルティネスの・203を抑え1位。防御率2位の巨人・菅野が・263、同3位の中日・ガルシアが・289と立ち上がりにもたついているのとは対照的だ。

 ただ、被本塁打は16本で現在セの配球王になっている。2リーグ制後、防御率1位の投手が同時に最多被本塁打を記録したのは07年巨人・高橋尚成しかいない。同年は防御率2・75、被本塁打21本だったが、被本塁打は広島・青木高広、ヤクルト・石井一久と同数。今季の大瀬良のように被本塁打数が単独1位だと1リーグ時代の47年に東急・白木義一郎が記録したのに次ぎ71年ぶり2人目の珍記録になってしまう。

 大瀬良のポストシーズン登板は救援が多く、16、17年のクライマッスシリーズ・ファイナルステージに通算2試合救援登板して0勝0敗、防御率10・13。16年の日本シリーズでは2試合に救援登板し0勝1敗、防御率3・00の数字を残している。先発は新人だった14年のクライマックスシリーズファーストステージ第2戦が唯一の登板。勝ちこそつかなかったが、阪神相手に7回無失点の好投を見せている。広島にとって今季はリーグ3連覇とともに、2年ぶりの日本シリーズ出場は大命題。レギュラーシーズンで活躍を見せる大瀬良だが、短期決戦でもかかる比重は大きくなりそうだ。(敬称略、専門委員)

 ◆宮入 徹(みやいり・とおる)1958年、東京都生まれ。同志社大卒。スポニチ入社以来、プロ野球記録担当一筋。94年から15年まで記録課長。

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