【落合博満氏手記】オレの野球に荒木という選手は絶対に欠かせなかった

[ 2017年6月4日 08:10 ]

日本生命セ・パ交流戦   中日1―5楽天 ( 2017年6月3日    ナゴヤドーム )

07年10月、練習中に荒木(左)に声をかける落合監督
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 中日元監督の落合博満氏(63)が“オレ流”の賛辞を贈った。リーグ優勝4回、日本一1回という04〜11年の監督時代に唯一、毎年規定打席に到達したのが荒木。愛弟子の快挙に、今年1月のGM退任前から続いた沈黙を破った。現役時代に「アライバ」と並び称され、ともに常勝中日を支えた巨人・井端弘和内野守備走塁コーチ(42)はスポニチ本紙に手記を寄せた。

 守りで打った2000本だ。オレが(04年に)監督に就任して、やろうとした野球にマッチしたのが大きい。野球は点取り勝負だけど、点をやらない勝負でもある。3冠王3度の落合が守りの野球をやるなんて誰も思っていなかっただろうけど、荒木は監督のやろうとする野球に当てはまったということだ。

 もともと身体能力が高くて体力があった。体力は練習すれば付くのは分かりきっているけど、それに耐えられる選手がどれだけいるか。何人もやらせたが、ほとんどが逃げた。ドラゴンズの内野手は。最後までやったのが荒木と井端と森野。若い子にやらせても誰一人できなかった。

 守りで億という金を稼いだ男。守備はある程度、答えに近づける。打撃には答えがない。荒木には「オレは答えを求めて守備をやる」というのがあった。それが偉い。守りはやればやるほどうまくなる。打撃はどんなに才能があっても、一度崩れたら元に戻らなくなる、というのはあるから。答えのないものを追わず、答えに近づけることを追いかけて、レギュラーを張る方が賢い。中日は一塁手の動きが悪かったから「こっち側(一、二塁間)は全部守れ」というのを実行したヤツだからな。二塁プラス、一塁の半分はカバーしていた。相手のヒットを捕った数を加えられれば、とうの昔に2000本行っているよ。

 守ることで生きてきた人間が、2000本打った。これは今後のプロ野球選手にも意味ある先例になったと思う。オレの野球に荒木という選手は絶対に欠かせなかった。誰が打つよりもうれしい。

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2017年6月4日のニュース