目指せ!豪華刺し身盛り 胴上げ写真のXYZ

[ 2016年9月7日 09:00 ]

2012年10月2日、パ・リーグを制し胴上げされる栗山監督。左に頭、右下に足の代表例。右上のスペースに見出しが入ります

 【長久保豊の撮ってもいい?話】いよいよXデーが近づいてきました。何のXデーかって?プロ野球ペナントレース、優勝決定の瞬間です。マジック1ともなればレフト、センター、ライト、一、三塁、ネット裏、三塁と本塁、一塁と本塁を結ぶ線上のスタンド(ゴンドラ、逆ゴンドラと呼びます)計8人のカメラマンがスタンバイ、その時を待ちます。

 各ポジションには明確な役割分担があります。例えば優勝チームが一塁側ベンチに位置する場合、レフトからはマウンド付近に飛び出すベンチの選手を狙います。ライトからは敗戦チームの監督とベンチでガックリの選手たち。手前に歓喜する優勝チームを入れ込むのが理想です。ネット裏とセンターはバッテリー。一、三塁はMVP候補やその試合でヒーローとなった選手にレンズを向けます。

 通称「球追い」と呼ばれるゴンドラと逆ゴンドラ、一般の試合では内外野手のファインプレーを狙う位置ですが優勝決定時にはウイニングボールの行方まで追わなければなりません。選手たちは興奮状態ですから、後になって「そういえば記念球はどうした?」って話は結構あります。

 そして胴上げ。ここからは8台のカメラが一斉にナインの輪の中心に向かいます。腹筋を使って体をV字形に曲げて宙に舞う監督、力を抜き両手を伸ばしたY字形で選手たちの手に身体を委ねる監督。前者は長嶋、星野監督、後者の代表は王監督でした。今年のパ・リーグで言えばソフトバンク・工藤監督、日本ハム・栗山監督ともにY字形の傾向です。広島・緒方監督はどちらのタイプでしょうか。

 実は胴上げ写真には理想の構図があります。

 監督の頭は中心線より左にあること。左上に頭が来て右下に足が流れる構図が自然で安定感があるものです。これに対し右に頭がある写真は落ち着きのなさを感じます。魚料理、動物図鑑、神社のしめ縄…。頭が左にある構図に安定を感じるのは生活の中での刷り込み学習のせいだと思っていました。ところが釣り大会などで子供に獲物を持たせるとごく自然に頭を左にして持ちます(写真にすると右頭になっちゃう)。

 これは視覚、脳の特性によるもので人は無意識に左上から右上、左下、右下の順に視線を送るそうです。強調したいもの、見せたいものを左上に置く。Zの法則と呼ばれるもので大売り出しのチラシもこれに則って作られているとか。

 そしてスポーツ新聞の特性。右上のスペースには見出しがあるので右に頭があると写真は小さくなってしまいます。

 左に頭があり、周囲を歓喜する選手、スタッフが囲む構図。これって何かに似てませんか。まさしくタイなどの姿作りを中心としてアワビやらイカやらが取り囲む、豪華な刺し身盛り合わせ。カメラマンたるものプロ野球の素敵な一瞬、美味しく料理したいものです。(編集委員)

 ◆長久保 豊(ながくぼ・ゆたか)1962年生まれの54歳。都立両国高校から帯広畜産大学卒。写真部所属のカメラマンで、95年の東京写真記者協会賞グランプリをはじめ、計4度の受賞歴あり。フィギュアスケートの著名コーチと同姓でよく関係を疑われるが、全くの別人。

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