桐生第一 涙の誓い…夏こそ エース内池まさか7失点 初戦敗退

[ 2016年3月21日 05:30 ]

<桐生第一・滋賀学園>頭を下げる桐生第一・内池(手前)とナイン

第88回選抜高校野球大会1回戦 桐生第一5―9滋賀学園

(3月20日 甲子園)
 2年ぶり5度目の出場となった桐生第一(群馬)は、滋賀学園(滋賀)に5―9で敗れ、14年以来2年ぶりの1回戦突破はならなかった。エース左腕の内池翔投手(3年)が3回1/3を7失点と打ち込まれ、終盤の追い上げも及ばなかった。3月限りで定年退職する青柳正志部長(60)に勝利を届けることはできなかったが、内池は夏に甲子園へ戻ってくることを誓った。

 悔しさをこらえ切れなかった。試合を終えると内池は目を真っ赤に腫らし、一塁側アルプススタンドの観客に頭を下げた。応援団から飛び交う「夏に絶対戻ってこいよ!」の声を胸に刻んだ。

 「思い入れのある青柳先生に校歌をプレゼントできず、悔いしかないです。本当に申し訳ない」

 序盤から強振する相手打線につかまり、2回に3失点。主導権を握られると厳しいコースを攻めきれず、4回に連続適時打を浴びたところで無念の降板となった。3回1/3を7安打7失点。「今までこんなに失点したことない。投球イニング数も最短」と肩を落とし、ベンチで目頭を押さえた。

 26年間チームを支えてきた青柳部長にとって最後の甲子園。「青柳部長に勝利をプレゼント」がチームのスローガンだった。「野球人である前に高校生であれ」。入学当初から青柳部長に繰り返し言われた言葉だ。昨夏の新チーム結成後はチームがまとまらず、青柳部長から「みんなで意見をぶつけ合いなさい」と助言を受けた。ミーティングの回数を増やし、チームワークを高めてセンバツ切符をつかんだ。

 内池は降板後、青柳部長に「これからおまえにできることは声を出すことだ」と言われ、ベンチの最前列で声を張り上げ続けた。4回までに7点差をつけられる苦しい展開でも決して諦めなかった。7回に3点、8回に2点を挙げて粘りを見せると、スタンドも大盛り上がり。青柳部長は「こういうつらいゲームを切り抜けられる精神力を身に付けてほしい」と今後の成長に期待を込めた。

 99年夏の甲子園。同校は内池と同じ左腕・正田樹(元ヤクルトなど)を中心に初優勝をつかんだ。内池は当時の映像を繰り返し見て、正田の投球術を頭に叩き込んだ。92年夏の甲子園に樹徳(群馬)の三塁手として出場した父・弘幸さん(40)からは「相手の応援も自分の応援だと思って楽しめ」と助言された。しかし、この日は序盤に主導権を握られ「周りが見えなかったのが敗因」と唇をかんだ。

 青柳部長は「夏の大会も応援に行く」と約束してくれた。雪辱を果たす舞台は残っている。内池は「青柳先生に成長した姿を見せられるように死ぬ気でやる。全国レベルの投手になって夏に帰ってきたい」と前を向いた。 (青木 貴紀)

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