大谷“左足ケンケン”1号 逆一本足フィニッシュ特訓で逆方向左へ

[ 2016年3月21日 09:37 ]

<日・ヤ>打撃練習で左足を蹴り上げて打つ大谷

オープン戦 日本ハム5-2ヤクルト

(3月20日 札幌D)
 完全復活の一発締めだ。日本ハムの大谷翔平投手(21)が20日、ヤクルトとのオープン戦に「6番・DH」で出場し、2回に先制ソロ。オープン戦では2年ぶりとなる今季実戦初アーチを放った。打撃不振に苦しんでいたが、前日のマルチ安打に続き、待望の一発。打者としての最後の試合で仕上げてきた。二刀流4年目。投手としては2年連続で開幕投手を務める25日のロッテ戦(QVCマリン)、打者としては開幕3戦目の27日の同カードで初出場する。

 十分に引きつけて振り抜いた。ヤクルトのドラフト1位・原樹が外角低めに投じたシュート。大谷は逆らわずに打ち返し、高々と舞い上がった打球は逆方向の左翼ポール際へ吸い込まれた。紅白戦、練習試合を含めて今季実戦初本塁打。開幕前、自身最後のオープン戦で復活アーチを描いた。

 「シュート、カット(が得意な)投手と聞いていた。ある程度コースを絞った。しっかり強く振れればいいと思っていた。結果的に(本塁打になって)良かった」。2、3球目の低めの変化球を見極め、3ボール1ストライクと打者有利のカウントに持ち込んだ。エースでもある大谷は「僕が打ったというより(カウントを悪くした)投手側のミス」と振り返ったが、これまで課題だった低めの変化球に対応した。

 試合前のフリー打撃。打つ瞬間に軸足の左足をはねるように折り曲げ、右足にくっつけて体重移動した。フィニッシュ時には右足一本。この打ち方を試し、何度も逆方向へ強い打球を飛ばし続けた。ベテランの田中賢も取り入れている打撃練習法である。城石打撃コーチは「壁をつくって、体重を乗せる意識だと思う」と解説した上で、「(右足一本で打つから)ケンケン打法だね」と命名した。最後まで体が開かずに引きつけて打ち返すことができ、大谷も「しっかり、(練習に)取り組んだ過程で本塁打になれば、それはそれでいいと思う。状態はちょっとずつ上がってきている」と手応えを口にした。

 だからこそ低めの変化球を見極め、強い打球を逆方 向へ打つことができた。大谷は「逆方向への打球は調子のバロメーター」と言う。札幌ドームでは左中間はあっても左翼への本塁打は初めて。開幕前までの実戦で47打席目での一発はプロ4年目で最も遅い。前日は11打席ぶりの安打を含むオープン戦初のマルチ安打をマークし、この日の一撃。打撃不振に苦しんでいた強打者が、ようやく復活ののろしを上げた。

 栗山監督も「ホームランバッターにとって、ホームランが出ることは良いこと」と安どした。21日のヤクルトとのオープン戦最終戦には打者として出場せず、25日のロッテとの開幕戦に向けて投手調整に専念する。開幕戦の2日後には打者としても「開幕」する二刀流は「オープン戦はオープン戦。ここからが一番大事」と語気を強めた。 (柳原 直之)

 ≪札幌D初左翼席≫大谷(日)が2回に決勝の先制1号。オープン戦では14年3月4日の巨人戦以来2年ぶり3本目の本塁打で、初の決勝弾になった。また、この日は左翼方向への一発。札幌Dでの本塁打は公式戦6本、オープン戦2本で合計8本目となったが、これまでは右翼、右中間、左中間が各2本、中堅が1本となっており、左翼に叩き込んだのはこの日が初めて。

続きを表示

この記事のフォト

2016年3月21日のニュース