斎藤「背負って」勝った!疑問の声や負けられない重圧…

[ 2012年3月31日 06:00 ]

<日・西>プロ初の完投勝利で開幕戦を白星で飾った日本ハム・斎藤(中央)はナインと喜ぶ

パ・リーグ 日本ハム9-1西武

(3月30日 札幌D)
 プロ野球は30日、セ、パ両リーグが同時開幕し、2年目で自身初の開幕投手となった日本ハム・斎藤佑樹投手(23)がプロ初の完投勝利を飾り、自身の右腕で「プロ野球新時代」の到来を告げた。昨季まで5年連続で開幕投手を務め、レンジャーズに移籍したダルビッシュ有投手(25)から引き継いだ大役に散発4安打1失点の熱投で応えた。

 もう「持ってる」だけの男ではいられない。開幕戦という大舞台で、プロ初の完投勝利。ウイニングボールを栗山監督に手渡した斎藤は、大歓声の中でのお立ち台で堂々と言い切った。

 「今は持っているのではなく、背負っています。1年を通して開幕を斎藤でいって良かったと言われるようにしたい」

 失点を重ねたオープン戦とは別人のような投球を見せた。今春キャンプでは昨年に比べて振りかぶったときにグラブを少し上に位置させ、さらに大きく踏み出していた左足の歩幅を小さくし、一方でフォームの初動から曲げていた右の軸足を一度伸ばしてから折るようにした。左足で思い切りマウンドで蹴ることで反動をつける。力のある球を求めてのフォーム改造だった。それでも結果は出ない。そこで開幕前に腕の振りの通りの球を投げれば打たれやすいと分析。若干力を抜いて、プロ自己最速145キロの直球を「腕の振りとは違うスピード」になるよう工夫した。西武打線は思ったよりも遅い球に芯を外され力ない飛球を打ち上げた。疲れも省エネできる「魔球」は夏の甲子園優勝を果たした早実時代にも使っていたという。

 「今は頭が真っ白というか…凄く興奮しています。栗山監督になって、開幕投手の手紙を渡されオープン戦で結果が出ない複雑な気持ちもあって凄いプレッシャーだった」

 偽らざる本音だった。開幕投手を目指してはきた。ただ、武田勝という実績十分なエースがいることで、どこかに甘えがあったのかもしれない。栗山監督から「もっと必死さを見せろ!」と怒られたこともあった。それでもオープン戦では結果が出なかった。それだけに、3月18日に指揮官から開幕投手を伝えられた際に、思わず涙が頬をつたった。もちろん、球界内外で自身の開幕投手に対する疑問の声は嫌でも耳に入ってきた。ここで打たれたら栗山監督に批判の矛先が向けられることも十分承知していた。裏切れない…。重圧と戦って出した1失点完投勝利。試合後も「(開幕が)斎藤で良かったと言われるように1年間機能したい。今は答えは出ない。満足はしていない。ただ何かをつかむいいきっかけにはなったかな」と慎重に言葉を選んだ。

 この日の試合前には選手、コーチ、スタッフ全員で栗山監督の座右の銘「夢は正夢」と書かれた杯で水杯を交わした。そして開幕勝利という正夢をかなえた。「ダルさんのいなくなった穴は、隙間だらけかもしれないけど少しずつ自分が埋められるように頑張っていきたい」。期待、重圧…。さまざまなものを乗り越えてつかんだ1勝が、斎藤を新エースに押し上げる。

 ▼日本ハム・吉井投手コーチ 佑ちゃんの開幕(投手)は、監督には1月の時点から言われていた。僕もそうしたいと思っていたし、周りの声を頑張ってはね返してくれたのがうれしかった。

 ≪入団2年目以内の開幕戦完投勝利はチーム64年ぶり≫斎藤(日)がプロ初完投勝利。日本ハムの開幕戦完投勝利は、08年にダルビッシュ(現レンジャーズ)が完封して以来11人目で16度目(前身球団含む)。うち初の開幕投手で記録したのは4人目だが、入団2年目以内では急映時代の48年吉江以来、チーム64年ぶりとなった。

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