稲葉が救った!「右ゴロ」狙って完成

[ 2010年4月28日 06:00 ]

<日・オ>8回2死二塁、塩崎をライトゴロに仕留めた稲葉はガッツポーズでベンチに戻る

 【日本ハム1-0オリックス】予期せぬプレーのように見えても当事者にとっては必然だった。日本ハム1点リードの8回2死二塁。オリックスの代打・塩崎の打球は右前に弾んだ。同点打かと思われたが、右翼の稲葉は迷わず一塁へ送球。プロでは珍しい右ゴロは瞬時の判断だけでなく、狙っていたからこそ完成した。

 得点は1―0。ベンチは1点も与えないシフトを指示。内野は二遊間を締め、中前打を警戒。大きく空いた一、二塁間と三遊間に備えて、右翼手と左翼手は前進。この時点で稲葉の頭には「右ゴロ」のイメージができていた。「気をつけるのは打球の速さ。ライナーなら一塁に投げるつもりだった。塩崎君も投げるとは思わなかったでしょう」。二塁走者の後藤は打球の強さに三塁を回って止まっていたが、稲葉は一塁しか見なかった。一方で打者走者の塩崎は右前打→本塁送球を予想。二塁も狙えるよう、打ったと同時にファウルゾーンへふくらみながらスタートを切っていた。稲葉の動きに慌てて一塁へ駆け込んだが間に合わず「途中でヤバイと思った。普通、あんな場所に守らんよ。安打1本、損した」と肩を落とした。

 一生に1度あるかないかのプレーを想定していたのは一塁手の高橋も同じだ。右打者で右打ちが得意な打者ならばなおさらで「たとえ走者が本塁突入しても一塁がアウトなら得点は入りませんから」。打球が飛んだ時点で本塁返球に備えた中継ではなく、ベースカバーに入っていた。16年目で打者走者を一塁アウトにしたのは初めてという稲葉は「(高橋)信二とはコミュニケーションを取っているし、2死満塁で2点与えられないような場面だったらいつも狙っている」と胸を張った。

 「いつも頭にあるからできる。若いやつらも見習うべきところ」とは清水外野守備コーチ。勝つための準備。最下位に低迷するチームにとって大きな意味を持つ1勝となった。

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2010年4月28日のニュース