選手も一般人も「数字と戦う」日々 WBC最大の関心時は…

[ 2023年3月11日 07:45 ]

 「数字」はうそをつかない、と先輩のK記者に入社したての頃に教わった。「○○投手が良くなった」では、あいまい。「前回の5奪三振から14個に増加した」と書くと信ぴょう性がグッと増す。

 侍ジャパンの大谷は凄かった。先発して3番打者も務めたWBCの中国戦は平均世帯視聴率が41・9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったそうだ。リアル二刀流出場で4回に2点適時二塁打を放った後の満塁チャンスの場面が45・9%で瞬間最高だったとか。

 今年1位の高視聴率。WBCでは歴代2位の記録だったそうだ。YouTubeやネットフリックス、アマゾンプライムなどエンタメが多様化したこの時代にこの高視聴率。かつての数字よりも大きな意味を持っていると思う。ちなみに、WBCの過去最高は43・4%だった06年第1回大会決勝の日本―キューバ戦だった。

 プロ野球は数字との戦いといわれる。巨人・菅野が自己最多17勝を挙げた翌年の18年に重圧を吐露していたのを思い出す。「皆さんが思っている以上に数字と戦うのは苦しいんですよ…」と語っていた。我々、一般人も生活の中で数字と戦っている。「時間」だって数字に支配されているわけで…。

 かつての民主党政権の施策「事業仕分け」で蓮舫議員が「世界一になる理由は何があるんでしょうか?」と聞いた後、「2位じゃダメなんでしょうか?」と発言した。2位を目指していたら世界トップクラスになれるわけがない。WBCにおける国民の最大の関心事は、3大会14年ぶり世界一奪還なるかどうかだ。
(記者コラム・神田 佑)

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2023年3月11日のニュース