阪神・森下 極限の集中力が生んだプロ1号 新庄監督の「内野5人シフト」も「気づいていなかった」

[ 2023年3月11日 05:15 ]

オープン戦   阪神6-0日本ハム ( 2023年3月10日    甲子園 )

<神・日>3回、2ランを放ち、ガッツポーズを決める森下(撮影・北條 貴史)
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 阪神ドラフト1位・森下翔太外野手(22=中大)が10日、日本ハム戦(甲子園)でプロ初本塁打を放った。3回無死二塁で先発・生田目から豪快に左翼席へ叩き込み、一塁を回って右手でド派手にガッツポーズ。対外試合12試合、35打席目での初アーチに加え、4回にも適時二塁打を放つなど3打点を挙げ、23年の甲子園初勝利に大きく貢献した。

 右翼席から「モリシタコール」が巻き起こる。やまない呼びかけに、背番号1は照れくさそうに帽子を取り、ペコリと頭を下げた。

 「タイガースファンは本当に熱狂的なので、もり立ててくれるのはすごくうれしい」

 はにかむ笑顔からは想像しがたい強烈な打球を、左翼席に突き刺さした。誰もが待ちわびた一発。3回無死二塁、先発・生田目の初球、142キロ直球をひと振りで砕いた。

 「あまり外野手の頭を越える長打が出てなかったので、良かった。芯でしっかり捉えられたし、打球の上がり方も良かった」

 極限の集中力が生んだ初本塁打と言えた。実はこの回、先頭・木浪の打席から、日本ハムはある特別な守備隊形を敷いていた。左翼・松本剛が二塁の定位置に入り、二塁・加藤豪が二塁ベース後方に移動。中堅・五十幡が左中間、右翼・矢沢が右中間をカバーするという「内野5人シフト」だ。新庄監督が春季キャンプ中から特訓していた異例の布陣。だが当の森下は「自分の打席ですか?気づいてなかったです」とサラリ。とっておきの“新庄スペシャル”も、スタンドまで包囲網が及ぶことはない。結果的に、秘策すら完全に無力化させてみせた。

 9日、第5回WBCが開幕した。自身も6日の強化試合(京セラドーム)で対戦した侍ジャパンの面々が、世界一奪還へ向けて中国との初戦に挑んだ。先発に大谷を立て、必勝を期して臨んだ一戦の7回、中大の先輩・牧が右翼席へ「侍ジャパン1号」を放った。テレビで見届け「すごく刺激になりました」と目を輝かせた森下は「ゆくゆくはWBCで核となる選手になりたい」と決意を新たにした。目指すゴールはずっと先にあるからこそ、目の前の結果に一喜一憂しない。

 「1試合打っただけなので、気を抜いていることは全然ない。より一層、気を引き締めていく。自分に妥協せずにやっていく」

 4回の第3打席でも適時二塁打を放って、3打点を挙げた。持ち前の走攻守、ここぞの勝負強さ、そして本塁打直後の手荒い祝福から推察される仲間からの愛されぶり――。ゴールデンルーキーが、早くも虎に必要不可欠な存在になりつつある。(八木 勇磨)

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2023年3月11日のニュース