【世界陸上】決勝のサニブラウン、10秒06で7位「悔しい」「満足」夢のファイナル駆けた

[ 2022年7月17日 11:51 ]

陸上・世界選手権第2日 ( 2022年7月16日    米オレゴン州ユージン )

日本初の100メートル決勝に臨んだサニブラウン(手前)は7位だった(ロイター)

 第2日の16日(日本時間17日)に行われた男子100メートルで、サニブラウン・ハキーム(タンブルウィードTC)が日本短距離界の新時代到来を告げる走りを見せた。1983年に初開催され、今大会が18回目となる世界選手権で、日本初となる決勝に臨み、向かい風0・1メートルの中、10秒06で7位となった。

 「ものすごく悔しいけど、やるだけのことをやってここまできたんで。しっかり出し切ったから、最終的には満足できる世界陸上になっているのかな」

 レース後はトラックに座り込んだ。「きつかった、マジできつかった」。地元の米国勢が表彰台を独占。「やつらやっぱり強いなと身に染みて感じる。まだまだ自分自身これからなんで。トップに立てる選手になれるようにもっと練習して、1、2、3、アメリカ崩していきたい」と気合を入れた。

 第1日の予選でいきなり9秒98をマークすると、この日の準決勝は10秒05。自動的に決勝進出となる2位以内には入れず、「いい感じで出られたけど、後半もっとまとめられたかな、と。もうちょっと上げていけるかなと思った」と反省したが、タイム上位でファイナルに駒を進めた。

 16歳だった15年に100&200メートルで世界ユース選手権2冠。初出場の世界選手権は200メートルで準決勝に進出した。17年には200メートルで7位入賞。その一方で五輪イヤーは故障に苦しんできた。

 リオ五輪の16年は左大腿部の肉離れで選考会の日本選手権に出場できず。昨夏の東京五輪はヘルニアに苦しみ、200メートルに出場したものの、まさかの予選落ちを喫した。

 故障が癒えた今季は日本選手権で完勝。「昨年はケガをしたこともあって、精神的に弱っている部分もあった。そこを経て精神面は強くなった。体の状態が良くても精神面で負けちゃいけない。この競技は本当にメンタルだと思っている。そこはしっかり大事にしたい」。陸上の本場・米国で心身の鍛錬を重ねた23歳が、日本短距離界に新たな歴史を刻んだ。

  ◆サニブラウン・ハキーム 1999年(平11)3月6日生まれ、東京都出身の23歳。父はガーナ人で母は日本人。陸上は小4から始めた。15年世界選手権は200メートルに出場。16歳172日で予選を突破し、大会最年少記録を更新。17年の世界選手権はウサイン・ボルト(ジャマイカ)が持っていた200メートルの最年少決勝進出記録(18歳355日)も塗り替えた。19年6月には全米大学選手権で当時の日本新記録となる9秒97をマークした。1メートル90、83キロ。

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2022年7月17日のニュース