【世界陸上】サニブラウン歴史的7位 “暁の超特急”が言った「異常」に終止符、新時代の日が差した

[ 2022年7月17日 12:23 ]

陸上・世界選手権第2日 ( 2022年7月16日    米オレゴン州ユージン )

1932年ロサンゼルス五輪陸上男子100メートルで決勝に進した吉岡隆徳さん(写真左)のおい、春日貴紘さん(20年2月撮影)
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 男子100メートルでサニブラウン・ハキーム(タンブルウィードTC)が決勝に進出し、7位に入った。同種目で日本勢の決勝進出は初めてだが、今から90年前、1人のスプリンターが世界最速を決める舞台を駆けた。

 1932年のロサンゼルス五輪で6位入賞を果たした吉岡隆徳。抜群のスタートを武器に“暁の超特急”と呼ばれた。

 84年に74歳で亡くなった吉岡の生前を知る、おいの春日貴紘さん(76)は、スポニチのこれまでの取材にこう語っている。

 「吉岡は『自分のほかに決勝進出者が出ていないことこそが異常だ』と言っていた。自分の実績を超える人材を願って、指導者になった人。そんな人だから、100メートルで決勝へ進んだ選手が出れば、喜ぶに決まっている」

 五輪と世界選手権。大会は違えど、世界のファイナルに日本人が立った。新伝説を刻んだサニブラウンが成し遂げた快挙は、伝説の名スプリンターの悲願でもあった。

 吉岡は1メートル65の小さな体で世界に挑むため、スタートを磨き抜いた。サニブラウンは過去2度、世界選手権100メートルの準決勝でスタートに失敗。今大会は課題を克服し、1メートル90の体を生かした大きなストライドで駆けた。夜明けを意味する“暁”が疾走してから90年。日本短距離界に、新時代の日が差した。

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2022年7月17日のニュース