【世界陸上】競歩王国だ!山西が男子20キロ連覇 ラスト2キロで抜き返し東京五輪銅の雪辱

[ 2022年7月17日 03:30 ]

陸上・世界選手権第1日 ( 2022年7月15日    米オレゴン州ユージン・ヘイワードフィールド )

山西利和(左)が金、池田向希が銀とワンツー・フィニッシュを達成(AP)
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 開幕し、男子20キロ競歩で前回19年大会王者の山西利和(26=愛知製鋼)が1時間19分7秒で優勝した。大会2連覇は全種目を通じて日本史上初の快挙で、2位に入った池田向希(24=旭化成)とのワンツーフィニッシュも日本勢初となった。男子100メートル予選では、サニブラウン・ハキーム(23=タンブルウィードTC)が9秒98で7組1着となり、3大会連続で準決勝に進出した。

 晴れわたるオレゴンの空に両手を突き上げた。序盤から先頭に立ってレースを動かした山西が、同じ日の丸を背負う池田にラスト2キロで一度は抜かれたが、再び抜き返してフィニッシュ。思うままに駆け引きをした上で日本史上初となる2連覇を達成し、喜びを爆発させた。

 「素直にうれしい。連覇という言葉にこだわりがあったわけではないけど、チャレンジできるのが僕だけだったので。良かった」

 19年ドーハ大会で金メダルを獲得。ただ、昨夏の東京五輪では銅メダルと不完全燃焼だった。「世界一を獲ったことで、有力選手の一人から優勝候補に立ち位置が変わった」。求めたのは、マークされても勝ちきる強さ。五輪を終え、京都・堀川高校時代の恩師である船越康平さん(現京都工学院高教頭)に「今までと同じやり方をしていたらダメ」と打ち明けた。

 「変化しない生物は絶滅していく」。これが山西の哲学だ。昨冬、思考方法などで独自の育成手法「原田メソッド」を説く、原田教育研究所の原田隆史さんの講習会に参加し、継続的にお世話になることを決めた。メンタル強化へ「メソッドとして、体系で確立されたものに着手したのは大きな変化」と船越さん。また冬場は長い距離を歩く練習を増やし、股関節周りを意識したフォームに取り組むなど細部にこだわった。今回のペース変動への対応にもつながり「去年より1段階上がっている」と手応えを確認。京大出身の“IQウオーカー”は、今まで以上に心技体を突き詰めてきた。

 日本勢の今大会メダル1、2号となる池田とのワンツーフィニッシュに「大会初日に、日本選手団に良い風を吹かせられたのかな」と胸を張った。そして、前日に東京で開催されることが決まった25年世界選手権での優勝について問われると、笑みを交えて答えた。「無事に僕が競歩界の最前線にいれば頑張りたい」。来年のブダペスト大会での3連覇、そして東京大会での4連覇も可能だと感じさせる強さだった。

 【山西 利和(やまにし・としかず)】
 ☆生まれとサイズ 1996年(平8)2月15日、京都府長岡京市出身の26歳。1メートル64、54キロ。
 ☆学歴 京都・堀川高―京大工学部卒。
 ☆競技歴 小学校時代のマラソン大会をきっかけに中学時代に本格的に競技を開始。堀川高1年時に長距離から競歩に転向した。13年世界ユース選手権1万メートル優勝。17年ユニバーシアード20キロ優勝。19年世界選手権金メダル。東京五輪3位。
 ☆卒業論文テーマ 「部分空間同定法を用いた信号の周波数推定」
 ☆趣味 読書。ミステリー作品を好んで読む。
 ☆食べ物 好きなものは寿司、嫌いなものは柿。
 ☆好きな言葉 継続は力なり。

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