高木美帆支える日体大・青柳徹総監督 成長のため…涙する教え子をナショナルチームに送り出す親心

[ 2022年2月14日 05:30 ]

北京五輪第10日 スピードスケート女子500メートル ( 2022年2月13日    国家スピードスケート館 )

女子500メートル決勝、日の丸を掲げる高木美帆(撮影・小海途 良幹)
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 俯瞰(ふかん)した視点で高木美を支える存在がいる。日体大総監督の青柳徹氏(53)は「美帆がスケートに没頭できる環境をつくるのが自分の仕事。そのためには何でもやります」と実感を込めた。中長距離で88年カルガリーから4大会連続五輪に出場した往年の名選手。高木美が14年ソチ五輪出場を逃す挫折を味わった日体大1年時に指導に当たっていた人物だ。

 15年春。青柳氏は14年ソチ五輪後に発足したナショナルチームに高木美を送り出した。自らの手で平昌五輪に導きたい思いは強かったが、ハイレベルな選手が競う環境は何にも代え難い。「葛藤はあったけど“行ってこい”と伝えました。美帆は泣いてました」。その後は現コーチ陣に配慮し、技術的な助言はしていない。スポンサー企業との窓口などリンク外のマネジメントに尽力する。

 直接指導した期間は約1年だが、与えた影響は大きい。ソチ五輪の代表選考会前、高木美はスケート靴を従来よりも操作性は高いが安定感を欠く“ソフト”に変更。青柳氏は滑りに合わないことを見抜き、止めたが、聞き入れられなかった。「当時はまだ信頼関係がなかった。靴を替えていなければ、落選はなかったと思う」。15年3月の海外遠征中に靴の再変更を提案。オランダの老舗で注文した。“ややハード”“超ハード”の2足を新調。それを機に停滞していた記録が伸びた。“ややハード”は現在履く靴のプロトタイプだ。

 昨年12月。海外遠征から帰国して隔離中の高木美から連絡が入った。練習を除き外出できないため、長野市内のホテルにコーヒー豆を届けてほしいとの要望だった。日体大の選手を率いて同市に滞在しており、快諾。今季開幕戦前には調子の上がらない不安を打ち明けられ「五輪で良ければいい」と励ました。「電話が来ると“何かあったのでは”と緊張します。(日体大の)学長か美帆ぐらいですね、電話に名前が表示されて緊張するのは」。テレビ解説で現地入りしており、教え子の奮闘を見守った。

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