ラムズが2度目の優勝 WRカップがMVP QBスタッフォードは史上6人目のパス記録を樹立

[ 2022年2月14日 12:35 ]

表彰式でMVPトロフィーを手にしたラムズのカップ(AP)
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 第56回NFLスーパーボウルが13日、気温が28度にまで上昇したカリフォルニア州イングルウッドのソーファイ・スタジアムで行われ、このスタジアムを本拠にしているラムズ(NFC)が23―20(前半13―10)でベンガルズ(AFC)を下し、3年ぶりに5回目の出場で22年ぶり2度目の優勝を飾った。タイタンズを23―16で下して初優勝を果たした2000年時の本拠地はミズーリ州セントルイス。2016年に22年ぶりにロサンゼルスに戻ってからは初めてのリーグ制覇で、8回のレシーブで92ヤードと2TDをマークしたWRクーパー・カップ(28)がMVPに選出された。

 ラムズは第1Q、ライオンズに12シーズン在籍したあと昨オフに移籍してきたQBマシュー・スタッフォード(34)がシーズン途中でブラウンズを解雇されたあとに契約したWRオーデル・ベッカムJR(29)に17ヤードのTDパスを通して先制。第2Qには獲得ヤード、キャッチ数、TD数で今季のレシーブ部門の3冠を達成し、最優秀オフェンス賞を受賞したカップに11ヤードのTDパスも成功。前半を13―10で折り返した。

 しかし第2Q終盤にベッカムJRが左膝を痛めてダウン。第3Q開始早々に逆転を許して後半は苦戦を強いられた。それでも16―20で迎えた第4Q残り6分13秒からのドライブで、スタッフォードが第4ダウン残り1ヤードとなった場面を含めて粘り強く反撃。敵陣1ヤード地点までボールを進めたあと、残り1分29秒、MVPとなったカップがベンガルズのCBイーライ・アップル(26)のマークをかわし、エンドゾーン右でスタッフォードのパスをキャッチして土壇場で試合をひっくり返した。

 スタッフォードは2009年のドラフト全体トップで指名されたが、ライオンズでの12シーズンでプレーオフは3戦全敗。しかし新天地に移籍したシーズンにいきなり頂点まで上り詰めた。スーパーボウル初出場を果たすまでにパスで獲得した4万9995ヤードと323TDはスーパーボウル史上最多。ドラフト時のエリートQBでありながら“遅咲き”の指令塔となったが、13シーズン目はこれまでとは違った光景が目の前に広がった。

 「デトロイトはいつも自分の心の中の柔らかい部分。忘れることはない」と本人は語っており、ライオンズ在籍時代に多くのボランティア活動をしたことは有名な話。本来なら地元を去っていったスター選手には冷たくなるのがプロスポーツ界の“掟(おきて)”でもあるが、地元のスポーツグッズ店では「デトロイト・ラムズ」というTシャツを作ってスタッフォードを支援していた。

 今季はレギュラーシーズンで4886ヤード(リーグ3位)、プレーオフではスーパーボウルを含めて1188ヤードを獲得して合計では6074ヤード。同一シーズンで6000ヤードを突破したQBは史上6人目となった。

 敗れたベンガルズは1982、89年に続き、3度目の挑戦も黒星。チームを率いて3シーズン目となるザック・テイラー監督(38)はラムズが2019年にスーパーボウルに進出したときには、ショーン・マクベイ監督(36)の下でQBコーチを務めており、今回は“師弟対決”となっていたが、かつての“上司”を倒すことはできなかった。

 スタッフォード同様、ドラフト全体トップで指名されたQBジョー・バーロウ(25)は7回のサックを浴び、第4Qには右膝を痛めながらも33回中22回のパスを成功。263ヤードと1TDをマークしたもののあと一歩およばなかった。

 トップ指名選手が2シーズン目でスーパーボウルに出場したのは史上初。バーロウはルーキーシーズンの終盤で左膝のじん帯を断裂したが、手術したのはラムズのチームドクターでもあるニール・エラトラッシュ氏(61)で、ラムズのサポートを受ける形で“復活”を遂げたが、最後の大一番では勝利を逃した。

 第2QにはRBジョー・ミルトン(25)にハンドオフしたあと、そのミルトンがWRジェシー・ヒギンスに6ヤードのTDパスを通すスペシャルプレーを完成。第3Q開始直後のプレーではそのヒギンスに76ヤードのロングパスを通して“一発”で逆転した。直後のラムズのオフェンスでは、コーナーバックのチドベー・アウージエー(26)がスタッフォードのパスをインターセプト。攻守両面のビッグプレーで流れをつかんだかに思えた。

 しかし3度目のスーパーボウルでも敗戦。ブックメーカー大手「ウィリアム・ヒル社」の優勝オッズはラムズの1・50倍に対して、ベンガルズは2・63倍と“格下扱い”を受けながらも善戦したが、初優勝は目前で達成できなかった。

 スーパーボウルは2020年までの54回の大会では開催スタジアムを本拠にしているチームが勝ち残ったことはなかったが、フロリダ州タンパのレイモンド・ジェームズ・スタジアムで開催された第55回大会では地元のバッカニアーズが優勝。そして総工費50億ドル(約5800億円)を投じて建設されたソーファイ・スタジアムでも地元のチームが優勝を飾った。

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