明治安田生命・根岸社長「みんなの健活プロジェクトで地域を元気に」 スポーツ庁・鈴木長官と特別対談

[ 2019年3月20日 20:00 ]

特別対談で握手を交わすスポーツ庁・鈴木大地長官(左)と明治安田生命・根岸秋男社長
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 今年はラグビーW杯(9月~11月)やハンドボール女子の世界選手権(11~12月)など注目の国際大会が国内で行われ、いよいよ20年東京五輪・パラリンピックへの気運が高まる。今回、スポーツ行政トップに立つスポーツ庁の鈴木大地長官(51)と、スポーツを通じた健康増進支援に注力する明治安田生命の根岸秋男社長(60)が特別対談。地域活性化や健康のために官民が果たすべき役割について語った。

 鈴木 本日はよろしくお願いします。Jリーグとのタイトルパートナー契約を22年まで結ばれ、今季も開幕。大いに盛り上がっていますね。

 根岸 実は、生命保険会社は地域との連合体なのです。地域を活性化していくことは使命。その中で、私たちの全国の支社などが地元のJリーグ全55クラブなどと個別にスポンサー契約を結んで応援しています。18年度はスタジアムでの観客者数が34万人に達しました。スポーツを核にした地域貢献にこだわっていきます。

 鈴木 スポーツ庁でも、スポーツ体験と観光をかけ合わせた旅行「スポーツツーリズム」を通して地域や経済の活性化を目指しています。「アウトドアスポーツツーリズム」と「武道ツーリズム」を掲げ、さらに各地の大学とも連携していきたいと考えています。

 根岸 若い人だけでなく、高齢者も含めて体を動かすためのムーブメントをつくっていけたらと。

 鈴木 我々もトップアスリートだけでなく、国民の健康増進もテーマに掲げています。まず元気になって、幸せになること。最終的に医療費の適正化にも貢献していきたい。まずは企業の社員に元気であってもらいたい。社員の健康増進のためにスポーツの実施に向けた積極的な取組みを行っている企業を“スポーツエールカンパニー”に認定していますが、もちろん明治安田生命さんも入っています。

 根岸 ありがとうございます。約4万2000人の職員がおり、朝は各自、体操してから業務に入っています。硬式野球部やボート部などスポーツ活動も盛んです。

 鈴木 いいですね!行政も頑張らないといけないところです。

 根岸 健康増進といえば、毎年お客さまの健康チェックとしてリポートを出しています。「今年は頑張りましたね」とか「10年後はこんなリスクがありますよ」と、声をかけていくことが心地いい刺激になります。人生100年時代のこれからは「現役」としての意識も違いますしね。

 鈴木 誰でも「昨日の自分」を超えられれば、単純にうれしい。元気で動ければ幸せ度は増しますよね。そのためにも恒常的に体を動かすことが大事です。

 根岸 企業は健康増進のサポートをしますが、あくまで主役は「本人」。自分の幸せ指数につながっていくという意識を持たないといけません。

 鈴木 さて、今年はラグビーW杯やハンドボール女子の世界選手権、来年には20年大会があります。刺激を受け、心を動かされ、自分でもスポーツをやってみようという人が増えてくるでしょう。「する」「見る」「支える」と参加の仕方はいろいろあるが、最終的に「自分でもやってみる」という流れにつなげたい。データを取り、大きな大会を開催すると「スポーツ実施率が上がる」とか「医療費が下がる」とか、東京から世界に発信していきたい。

 根岸 素晴らしいですね。フィードバックすることはある意味義務だと思います。大きな大会のよさは少年少女、若い人たちが憧れの選手を見つけられること。私が剣道をはじめたのは森田健作さんのドラマの影響ですが、東洋の魔女がいたからバレーボールをはじめたという人がいるように、スポーツ選手は憧れの存在であってほしい。長いスパンで見ると心身ともに健全で立派な人たちが育成されることになるので楽しみです。

 鈴木 スポーツ施設を建設することは大きな投資でもあるが、結果として利用者が健康になることで医療費削減にもつながるかもしれませんね。

 根岸 Jリーグを応援しているので、各地のスタジアムに行きます。試合がない時には市民に開放しているところも多いですね。私たちは「みんなの健活プロジェクト」の一環でスタジアムを起点としたウオーキングイベントなどをしています。健康度が上がれば、人生のクオリティーも上がるわけです。

 鈴木 とてもうれしいです。地域の核になる施設があれば、地方での治安の不安も少なくなりますし。今後は地域の施設が活性化していけたらいいですね。

 根岸 例えば、茨城のカシマスタジアムは素晴らしい。市民がランニングやウオーキングをしに来るんですね。

 鈴木 スタジアムにクリニックもあり、トップアスリートと地域の方が一緒に通えるので、クリニックに流れる空気が違う。地元の高齢者が元気になっていますよ。

 根岸 人を集めたり、喜怒哀楽が表現できるという魅力がスポーツにはありますね。さて、お聞きしたいことがあります。長官の健康に対しての取組みを教えてください。

 鈴木 現役時代は自分が健康の代名詞だと思ってきましたが、五輪と五輪の間に腰痛になって寝たきり状態になったこともありました。長官という仕事に就き、若い人が故障して競技をやめていくようなことがないようにしたいと思っています。出勤前にはウオーキングやジョギングをしています。それができないときは(長官室があるビルの)13階まで階段を上ってきたりする。「スポーツインライフ」といって、生活の中に運動を入れるようにしています。

 鈴木 明治安田生命さんは公募型の次世代トップアスリート応援プロジェクトを行っていると聞きました。

 根岸 そうなんです。世界で活躍することが期待される若手アスリート10人を支援しています。ボクシングの堤駿斗さんやフェンシングの東莉央さん、卓球の木造勇人さん。また、社員選手の加納遼大がラグビー7人制日本代表に選ばれています。

 鈴木 そうですか!これからも隠れた才能を発掘していってほしいです。スポーツ庁も「ジャパン・ライジング・スター・プロジェクト」を発足させました。テーマは「メダルポテンシャルアスリートとなり得る、将来性豊かなスポーツタレントを全国で発掘する」。各競技に適した有望な人材を見出し、専門家の検証、評価を通じて各競技団体の強化育成コースに導いていくことが目的です。ともに頑張っていきましょう。

 根岸 もちろんです。思えば、Jリーグでは新参者だった私たちが、今は仲間として認めていただいた感じがする。今後は新しい価値をつくる“共創フェーズ”へとシフトしていきたいです。各クラブのスポンサー企業や自治体ともジョイントしていきたいですね。

 ◆根岸 秋男(ねぎし・あきお) 1958年(昭33)10月31日、埼玉県坂戸市生まれ。1981年(昭56)3月早稲田大学 理工学部卒。同年4月明治生命保険相互会社入社。2003年4月滋賀支社長、2005年4月企画部長、2007年4月営業企画部長、2009年7月執行役営業企画部長、2011年4月執行役、2012年4月常務執行役を経て2013年7月取締役代表執行役社長に就任。

 ◆鈴木 大地(すずき・だいち) 1967年(昭42)3月10日、千葉県習志野市生まれ。7歳で水泳を始め、市立船橋高時代の84年ロサンゼルス五輪背泳ぎに出場。順大4年時の88年ソウル五輪100メートル背泳ぎで日本選手として16年ぶりの金メダルを獲得した。92年引退。日本オリンピック委員会(JOC)理事、20年東京五輪・パラリンピック組織委員会のアスリート委員長、日本水泳連盟会長を経て1510月1日、スポーツ庁の初代長官に就任した。家族は妻と2男。

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