玉鷲 初V王手!「待った」で冷静さ取り戻し碧山下す

[ 2019年1月27日 05:30 ]

大相撲初場所14日目   ○玉鷲―碧山● ( 2019年1月26日    両国国技館 )

碧山(左)を押し出しで破る玉鷲(撮影・久冨木 修)
Photo By スポニチ

 玉鷲が優勝に王手をかけた。喉輪を振り払って碧山を押し出し、12勝目を挙げた。先に土俵に上がった貴景勝が3敗を守った後の土俵で極度の緊張に襲われたが、待ったで冷静さを取り戻して優勝争いの単独トップを守った。千秋楽の遠藤戦で勝つか、貴景勝が敗れれば34歳2カ月での初優勝が決まる。

 緊張はピークに達していた。過去の対戦成績で4勝5敗と負け越していた碧山戦。立ち合いで先に手をつかれると我を見失った。「緊張というか、頭が一瞬、真っ白になった。あれ、いつもどういってたんだっけ」。たまらず待ったをした。これで自分を取り戻した。碧山の強烈な喉輪を弓なりになってこらえ、喉輪を外すと一気に押し出した。

 直前の一番で1差で追っている貴景勝が快勝。13日目まで優勝争いを意識せずに集中できていたが、異変はそこで生じた。「気にしていなかった。でも心の奥で気にしていたから、おかしくなった。偉そうなことを言っても緊張してしまう」。これまでに味わったことのないプレッシャー。心の弱さを自覚した上で勝てたことで、賜杯がはっきりと見えてきた。八角理事長(元横綱・北勝海)は「玉鷲は体が動いている。普通は緊張するけど、日頃の積み重ねが出た」と仕切り直しの一番を評価した。

 最高の喜びは両親とともに分かち合う。出身地モンゴルの旧正月「ツァガンサル」を2月5日に控え、父バトジャルガルさん、母ツェンドゥスレンさんが来日していた。場所後の家族旅行のために呼び寄せたものだが、初優勝の瞬間を間近で見せることができるところまで来た。

 初土俵から90場所目、新入幕から62場所目。初優勝なら、いずれも史上4位のスロー記録となる。「たぶん、今日よりはましだと思う。もう最後だから、いらないことは考えずにいく」。34歳2カ月のベテランは、無心を貫き栄冠を勝ち取る。

続きを表示

2019年1月27日のニュース