順調すぎるゆえの課題　日本代表

＜日本・バーレーン＞試合後、サポーターにあいさつする日本代表イレブン（撮影・小海途　良幹）
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　アジアから最大９チームが出場できる今回の予選はグループ４位でもチャンスは残る。そのためグループの強豪国と対戦するチームは得失点差を考えて守備を固めるケースが多い。もとより自陣に押し込まれる展開は覚悟の上だが、その際の組織力と集中力は高まっている。

　サウジアラビア、オーストラリア、カタール、韓国が格下相手に勝点を取りこぼす中、日本だけが圧倒的な力の差をみせつけて連勝スタートとなった。

　守備固めの相手に対して、両ウイングバックにアタッカーを起用する３－４－２－１システムが効果的だった。ほぼ敵陣でプレーするため、ウイングバックといっても「バック」の要素はほとんどない。右に堂安律、伊東純也、左には三笘薫、前田大然、中村敬斗を配する最大限攻撃的なプレースタイルで２試合12ゴールをもぎとった。

　ただ、W杯本大会でもこれがメインのシステムになるとは考えにくい。相手と状況にもよるけれども、少なくともノックアウトラウンドで強豪国と対戦するときはここまで強気な布陣にはならないはずである。

　森保一監督は「ウイングバックを守備的にすることもできる」と話していて、カタールW杯のときのような戦い方も想定しているようだ。

　ウイングバックを守備型にするなら、右は菅原由勢、左は伊藤洋輝か中山雄太になるだろうか。ただ、それでは最大の武器である伊東、三笘のサイドアタッカーを起用できなくなってしまう。では、片側だけ守備型にするのはどうだろう。

　例えば、右WBを菅原にして左に三笘を残すとする。すると伊東の右のシャドーがはまるかどうかという課題が出てくる。それならば、４－２－３－１にして三笘、伊東をサイドに置いた方がスムーズな気がする。では、その場合のトップ下は南野拓実、久保建英、鎌田大地の誰になるのか。最も層の厚いこのポジションに２人ではなく１人しか起用できない。また、４バックなら左SBをどうするかという問題も残されている。

　負傷の多い冨安健洋を使えない場合、CBは伊藤、町田浩樹、谷口彰悟の誰になるのか。さらにシステムとは関係なく、CFの決定版は上田綺世なのか小川航基なのか、あるいは他の誰かなのか。リバプールでレギュラーポジションを失っている遠藤航に代われるボランチは誰なのか。GKは鈴木彩艶で確定なのか。

　予選最初の２試合に大勝したとはいえ、本大会へつながるチーム作りという点では、まだ不明なところがかなりある。もし、次のサウジアラビア戦も超攻撃的布陣で勝つようなら、もう予選終了後まで本大会用のチームは組めないかもしれず、好調なのは良いが意外とチーム作りという意味では停滞するかもしれない。

　アジアの予選が本大会につながらないのは、かねてから日本代表が抱えている課題なのだが、今回もそれに突き当たることになるのだろうか。（西部謙司＝スポーツライター）