歌舞伎学会副会長 猿之助不在は「痛恨事」も「歌舞伎の底力が出せる時期」猿之助が若手に伝えていたこと

[ 2023年5月19日 13:09 ]

東京・赤坂のTBS
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 演劇評論家で歌舞伎学会副会長の犬丸治氏が19日、TBS「ひるおび!」(月~金曜前10・25)に出演。歌舞伎俳優の市川猿之助(47)が、18日に都内の自宅で両親とともに倒れているのが見つかった件に言及した。

 18日午前10時15分ごろ、都内の自宅で両親とともに倒れているのをマネジャーが見つけ、119番。母親の喜熨斗延子さん(75)は自宅で、歌舞伎俳優で父親の市川段四郎(同弘之)さん(76)は搬送先の病院でそれぞれ死亡が確認された。猿之助は自殺を図ったとみられるが、命に別状はない。捜査関係者によると、意識はもうろうとした状態が続いているという。

 犬丸氏は突然のニュースに「放心状態で仕事が手に付かない状態で、まだ分かってることが少ないですけど、とにかくまずは猿之助の回復を祈るばかり。それしか言えない状況ですね」と述べた。

 そして猿之助について「お客さんが呼べる役者だった」とし「本当にこれは歌舞伎界にとって痛恨事です」と落胆。「昔は歌舞伎役者が学校に行く必要はないという時代だったんですけども、今の猿之助の曾祖父さんである初代猿翁が、初めて役者で中学に進んだんです。そして、(猿翁の)お父さんの初代猿之助は、やっぱり今の役者は脚本が自分で読めなきゃだめだって。それで、知的な系譜といいますか、猿之助自身も勉強家で読書家で大変な知識を持っている。それが作品にも生かされている」と慶大卒という高学歴の経緯も説明した。

 また、「自ら見識を持って歌舞伎を改革というか、どれだけ今の若い人にアピールするか身をもって考えていたと思うんです」といい「その結果、昨日の明治座ですぐ夜の部ができたでしょ?あれはどうしてかって言うと、若手達に“こういうことやるよ”って事前に言ってあって、“俺の芝居を見て覚えろよ”ということをずっと言ってたわけですよ。その結果がああいう形で結実したんです」と事件が起きて「市川猿之助奮闘歌舞伎公演」の昼の部こそ休演となったものの同公演に台屋の四郎次、源頼光役で出演していた中村隼人が代役を務め、公演が再開されたことに言及した。

 また、20日からは香川照之こと市川中車(57)の長男、市川團子(だんこ)が昼の部の代役を務めるとあり「歌舞伎の底力が出せる時期。今だからこそというべきでしょうかね」と緊急事態で歌舞伎界の力が試されているとした。
 
 その上で、猿之助が佐々木蔵之介や浅野和之ら歌舞伎界以外の役者に歌舞伎を演じてもらうなどした功績を振り返り「今の猿之助の不在は、役者市川猿之助の不在というだけじゃなくて、歌舞伎をプロデュースする猿之助の不在なんですよ。私が言う痛恨事というのはそのことです」と猿之助の不在は大きな痛手とした。

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