澤瀉屋今後はどうなる?「猿之助」名跡途絶える危機 跡継ぎとなる長男おらず…市川團子候補も

[ 2023年5月19日 04:50 ]

2011年、香川照之歌舞伎界入り発表会見に臨む(左から)市川中車、市川團子、二代目市川猿翁、四代目市川猿之助、四代目市川段四郎さん
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 今回の事態は、澤瀉屋(おもだかや)の歴史の中でも最大の危機だ。詳細は、いまだ明らかになっていないが「女性セブン」による報道もあることから、猿之助が再び歌舞伎の舞台に立つことが難しくなる可能性もある。そんな中、歌舞伎関係者は「“市川猿之助”という名跡が途絶えるかもしれない」と危機感を募らせている。

 通常、歌舞伎は直系の家族に芸や名跡が継承されていくが、現在猿之助は独身で跡継ぎとなる長男がいない。父の段四郎さんや伯父の市川猿翁(83)が第一線から退く中、猿之助が1人で澤瀉屋の芸を普及する努力をしていた。

 本来なら猿之助とともに第一線で活躍するはずだったのが、いとこの香川照之こと市川中車(57)。だが昨年8月にクラブホステスへの性加害疑惑が報じられ、活動休止を余儀なくされた。

 そんな中で一門の期待の星と目されているのが中車の長男にあたる市川團子(19)だ。アイドルのような甘いルックスに加え、着実に力を付けてきている。人気も高く同世代の市川染五郎(18)と並んで「未来の歌舞伎界を担っていく貴重な存在」(歌舞伎関係者)と評されている。「いつかは團子が将来の猿之助になるだろう」と期待を寄せる松竹幹部も少なくない。

 ただ、その團子にとっても厳しい環境になる。父の中車は歌舞伎の世界に飛び込んでからまだ日が浅く、團子とともに猿之助から芸を学んでいる。猿之助が歌舞伎界から離れざるを得ない状況になった場合、團子に澤瀉屋の芸を伝える人物がいなくなってしまうことになる。

 これまで歌舞伎界に多くの新風を吹き込んできた澤瀉屋。その芸が途絶えることになれば、歌舞伎界にとっても大きな損失となる。

 ≪猿之助とは≫
 市川猿之助は「澤瀉屋」で市川段四郎と並ぶ名跡。初代は九代目市川團十郎の弟子だったが、1874年に團十郎の許可が必要な「勧進帳」を無断で演じ、破門。90年に許されて猿之助を襲名。長らく演じられていなかった演目「鎌鬚(かまひげ)」を復活させた。

 その革新的な精神は二代目以降にも受け継がれた。初代の息子である二代目は1919年に当時では珍しい欧米視察をし、外国演劇の要素を歌舞伎に取り入れた。戦後は古典と新作に意欲的に取り組み、55年には中国、61年にはソ連でも歌舞伎を上演。その孫で、当代の伯父である三代目は、宙乗りを復活。86年には「スーパー歌舞伎」を創始し、新たな歌舞伎の道を切り開いた。

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