関水渚 「どうする家康」田鶴役 「私じゃないと出せない猪突猛進さを出せた」

[ 2023年3月18日 13:50 ]

大河ドラマ「どうする家康」で田鶴を演じる関水渚(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】NHK大河ドラマ「どうする家康」(日曜後8・00)で家康(松本潤)の正室・瀬名(有村架純)の幼なじみ・田鶴を演じている俳優の関水渚(24)がインタビューに応じた。

 ──田鶴はどんな人物ですか?

 「猪突猛進で、責任感が強い。みんなを幸せにしたいと思っていて、自分が決めたことは絶対にやり遂げようとする人間です。そういう猪突猛進なところは、私自身に似ているかもしれません。私もこういう人間なんだと田鶴に気づかされて、ある意味で、田鶴と一体化できたように感じます。そういう体験は珍しいので、楽しかったです」

 ──関水さんは猪突猛進の人なんですか?

 「昔の方が田鶴っぽかったです(笑)。学生の頃、もの凄く正義感が強かったんです。何かに対して違和感を抱いたら、考える前に発言したり行動したりしていました。今は一度ちゃんと考えるようにしています。田鶴はちょうど私が激しく猪突猛進していた頃の年齢だと思うので、その頃の私を思い出して役作りをすることができました」

 ──史実として田鶴は家康と対立してしまうことになりますが、ご自身は猪突猛進しない方が良かったと後悔したことはありますか?

 「いっぱいあります(笑)。でも、そういう勢いがあったからこそ、芸能界に入れたとも思います。厳しい世界にいきなり向かって行ってしまったのは、田鶴の気持ちと同じだと思います。今は毎日お芝居をすることが楽しいですが、よく勢いでここまで来たなあと思います」

 ──田鶴は生まれる時代が早すぎたのかもしれませんね。

 「現代に生まれていれば、何事かを成し遂げられていたと思います。会社の社長になっていたかもしれません(笑)」

 ──関水さんは2019年の映画「町田くんの世界」で初めての演技で初主演して、いくつもの映画賞で新人賞を獲得しましたが、その後の道のりはどうでしたか?

 「いきなり主演をやらせていただいて、ありがたかったですし、順風満帆だと言われることもありましたが、私としては、思うようにいかないことの方が多かったです。お芝居も、どうしたらいいのか分からなくなった時期がありました。今も、つらいこと、悩むことはありますが、それ以上に、お芝居することの楽しさを感じる時間が増えています。それは、現場に慣れてきたからということもあると思います。現場に慣れると、変な緊張もせずに役に入り込むことができますし、年を重ねるごとに役を大切にする気持ちが強くなっています」

 ──お芝居はどんなところが楽しいですか?

 「お芝居をする相手と心を通わせること、お互いに心を震わせ合うことです。もの凄く繊細な作業で、もの凄くエネルギーを使うことなので、大変ではありますが、撮影が終わった後に思い出して、楽しかったな、と思うんです。この大河では、お瀬名さま(有村架純)と心のキャッチボールができたと感じました」

 ──有村さんはどんな人ですか?

 「実は元々、有村架純さんのファンだったんです。映画やドラマを見て、とてもかわいらしい方だと思って、いとおしさを感じていました。この大河で初共演する直前に偶然お会いした時にあいさつしましたが、有村さんは『親友役なので楽しみだね』と言ってくださって、もの凄く包容力のある方だと思いました。大河の現場でも、包み込む力を感じて、一緒にいると安心します。同じ控室だった時、私が『おはようございます』とあいさつすると、有村さんは音楽を聴いていたイヤホンを外して『おはよう』と言ってくれて、私がメークに行って戻って来る間もイヤホンを外したままで待っていてくださったんです。全人類を包み込む女神さまみたいな方です(笑)」

 ──第11回(19日放送)では、瀬名と田鶴が楽しそうに遊ぶ昔のシーンが印象的です。

 「あのシーンは15~16歳の田鶴とお瀬名さまでいられた気がします。監督さんから『高校生みたいに楽しんでほしい』と言われたので、町のセットの中を2人で必要以上にぐるぐる走り回りました。私自身も純粋に楽しめたので、もの凄く幸せあふれるシーンになっていると思います」

 ──芝居で有村さんと心を通わせ合っていることがそのシーンに表れているのでは?

 「表れていると思います。見ていただくみなさんにも伝わると思います」

 ──最近、3年ぶりの写真集「なぎさ日和」も発売しましたね。

 「田鶴と全く違う表情を楽しんでいただけると思います。カメラマンの三瓶康友さんに私自身も知らない関水渚を引き出してもらいました。お芝居をしていない時の私のいろんな表情も見ていただけたらうれしいです」

 ──以前「目標は朝ドラ女優」と言っていましたが、それは今も変わりませんか?

 「やりたいです。朝ドラは長い間、一つの役と一緒にいられるのがいいなと思っています。田鶴もそうですが、私は一つの役をずっとやっていると、どんどん好きになって、クランクアップの時に役から離れたくなくなるんです。大河もまたいつかやりたいです」

 ──今回の大河で関水渚のどんな新しい魅力が出たと思いますか?

 「私じゃないと出せない猪突猛進さを出せたと思います。半年前から練習して挑んだ乗馬のシーンも見どころになっていると思います。第11回(19日放送)をぜひご覧ください」

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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