「鎌倉殿の13人」三寅様の家系図 リハから長台詞ノーミス!慈円・山寺宏一“神業”の舞台裏 演出も驚嘆

[ 2022年12月7日 11:00 ]

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第46話。極秘に鎌倉入りした慈円(山寺宏一)(C)NHK
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 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は今月4日、第46回が放送され、慈円役を好演中の声優・山寺宏一(61)に2度の長台詞。本領発揮となる圧巻の台詞回しがSNS上で大反響を呼んだ。同回を演出した末永創監督に撮影の舞台裏を聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 稀代の喜劇作家にして群像劇の名手・三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。物語は、江戸幕府まで続く強固な武家政権樹立を決定づけた義時と朝廷の決戦「承久の乱」へと向かう。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は大河出演8作目にして初主演に挑んだ。

 第46回は「将軍になった女」。源実朝(柿澤勇人)の後継者をめぐり、北条義時(小栗)と後鳥羽上皇(尾上松也)の駆け引きが続く。北条時房(瀬戸康史)が軍勢を率いて上洛、揺さぶりをかけた。決着をつけようと、後鳥羽上皇は時房と蹴鞠勝負。結果は引き分け。親王の代わりの者を鎌倉に送ることで手打ちとなった。4代鎌倉殿に決まったのは、九条道家の三男・三寅(みとら、のちの藤原頼経)。わずか2歳だった。

 慈円(山寺)は極秘に鎌倉入りし、義時と政子(小池栄子)に面会。三寅の出自を述べる。

 慈円「源頼朝卿の妹君が一条能保卿に嫁がれ、その長女は月輪関白兼実公の子、後京極摂政良経公に、そのまた次女は大宮大納言公経(きんつね)卿に嫁ぎ、その姫君が後京極摂政の子である道家公に嫁がれ、その間に生まれたのが三寅様にござる」

 義時「申し訳ない。もう一度、お願いいたします」

 慈円「(早口で)源頼朝卿の妹君が一条能保卿に嫁がれ、その長女は月輪関白兼実公の子、後京極摂政良経公に、そのまた次女は大宮大納言公経卿に嫁ぎ、その姫君が後京極摂政の子である道家公に嫁がれ、2人の間に生まれたのが三寅様にござる。後ほど紙に書いてお渡しいたす。摂関家の流れを汲み、なおかつ源氏の血を引くお方だ」

 山寺が一切よどみのない滑舌を披露。しかも、2度目は早口。“七色の声”の真骨頂に、SNS上には驚きと絶賛の声が続出した。

 台本約2ページにわたる長台詞。2度目はト書きに「早口で」とある。

 ドラマ部歴約20年を誇る末永監督も「あれだけの量の、しかも呪文みたいな台詞を、これほどスラスラ言う人を生まれて初めて見ました。最初にテストをした時からノーミスだったので、俳優部とスタッフ全員が拍手。そのぐらい強烈でした」と神業に驚嘆。「山寺さんに『どうやって覚えたんですか?』とうかがったんですけど『普通に覚えました』と。裏技があるんじゃなくて、正攻法なんだ、とさらに仰天しました。もしかしたら、視聴者の皆さんは2回目の台詞で早送りをしていると感じられるかもしれませんが、そんなことはありません」と明かした。

 テスト・リハーサル・本番を通じ、山寺がつかえることは一度もなし。「なので、山寺さんが言い終えた後、現場からふざけて『もう一度』と2~3回リクエストがありましたが、それも一切、噛まないという。心底ビックリしました」。語りやテロップによる説明でも何ら問題のないシーンだが、末永監督は「山寺さんへの三谷さんの愛だと思います」と述懐した。

 ◇末永 創(すえなが・そう)1994年、NHK入局。東京・エンターテインメント番組部(当時)を振り出しに、秋田放送局を経て、2002年からドラマ部。大河ドラマに携わるのは13年「八重の桜」(演出・10話分)、15年「花燃ゆ」(演出・14話分)に続いて3作目。「鎌倉殿の13人」は第4回「矢のゆくえ」(1月30日)、第7回「敵か、あるいは」(2月20日)、第12回「亀の前事件」(3月27日)、第16回「伝説の幕開け」(4月24日)、第21回「仏の眼差し」(5月29日)、第27回「鎌倉殿と十三人」(7月17日)、第33回「修善寺」(8月28日)、第36回「武士の鑑」(9月18日)、第42回「夢のゆくえ」(11月6日)、第46回「将軍になった女」(12月4日)を担当した。

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2022年12月7日のニュース