【鎌倉殿の13人 主な退場者】実朝・柿澤勇人&公暁・寛一郎が語る大階段の裏側「体重落ちて」「猜疑心」

[ 2022年12月4日 15:01 ]

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第45話。雪が降り積もる鶴岡八幡宮の大階段。対峙し、見つめ合う公暁(寛一郎・左)と源実朝(柿澤勇人)(C)NHK
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 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は11月27日、第45話が放送され、ついに鎌倉最大のミステリーにして鎌倉最大の悲劇「実朝暗殺」が描かれた。

 <※以下、ネタバレ有>

 稀代の喜劇作家にして群像劇の名手・三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。物語は、江戸幕府まで続く強固な武家政権樹立を決定づけた義時と朝廷の決戦「承久の乱」へと向かう。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑んだ。

 第45話は「八幡宮の階段」。建保7年(1219年)1月27日、雪が降り積もる“運命の夜”。右大臣に昇進し、拝賀式を終えた3代鎌倉殿・源実朝(柿澤勇人)は鶴岡八幡宮の大階段を下りる途中、4代鎌倉殿の座を狙う公暁(寛一郎)の凶刃に倒れた。

 公暁は実朝の前に、太刀持ち・北条義時(小栗)も狙った。しかし、義時から太刀持ちの座を奪った源仲章(生田斗真)が斬られ、人違いの末に絶命。「寒いんだよ!」の断末魔が響き渡った。

 逃げた公暁は三浦館にたどり着き、乳母夫(めのと)・三浦義村(山本耕史)に助けを求めた。2代鎌倉殿にして父・源頼家(金子大地)の死の真相を知らない公暁に暴露し、義時と実朝を許してはならないと焚きつけた義村だったが、義時に詰問され、既に謀略を白状。何のためらいもなく、食事中の公暁を背後から刺した。首桶を義時に差し出し「この先も三浦一門、鎌倉のために身命を賭して、働く所存にございます」と忠誠を誓った。

 番組公式ツイッターに公開された柿澤と公暁の「かまコメ(撮影直前・直後の音声コメント)」は以下の通り。

 <柿澤勇人>

 ▼源実朝の最期を演じて 実朝は今まで鎌倉殿・3代将軍として生きてきて、大変なことがいっぱいありつつも、一生懸命、果敢に取り組んで、政にもちゃんと向き合ってきました。うまくいかなかったりとか、悩んでいたり、苦しんでいたりしたものも、最期にはある意味、すべてを受け入れて。例えば、政以外にもおばば(歩き巫女)に言われていたこととか、そういったものがあの一瞬のうちに一気に走馬灯のように頭の中を駆け巡り、すべてを理解したというか。「これで天に行けるんだ」じゃないけど、「父(頼朝)や兄(頼家)のところに行けるんだ」みたいな思いはありましたね。

 ▼実朝の人生 生まれた環境や時代がもし違っていたら、もの凄くいい将軍だったと思うし、将軍であること以前に、もの凄くいい人でピュアで真っすぐ。現代にも通じると思うんですけど、「こういう人が本当に生きていたらいいな」と思うような心の持ち主だったのかなと思います。ただ、残念なことにこの鎌倉の時代に生まれてきて、たまたま激動の陰惨な環境だったりしたので、そこがやっぱり悲劇というか、とてもかわいそうな人生だったなと思いますね。ただ一方で、僕はやっぱり役者なので、芝居をやっていて苦しいとかしんどいなというのはかなり多かったし、実際、撮影を経ていくと、だんだん顔がやつれていって、体重も落ちていきましたね。それは自分でも如実に分かっていて。でも、それは役者としては本当にありがたいことで。凄く矛盾しているかもしれないですけど、その実朝の苦悩みたいなものを演じられたのは、役者としては凄く幸運なことだったというのは、最期のシーンを経て思いました。

 <寛一郎>

 ▼源実朝を討つシーン 彼のすがりどころとしては、もう実朝を殺すというところなんです。北条義時も標的ではありますけど。とにかく実朝を殺せば何とかなるんじゃないかと。自分が生きるために殺さなければならないと。でも第44回で公暁は実朝との共鳴というか、会話、対話をしてみて、最後に「騙されるものか」と言うんですけど、それはもう彼がずっと生きてきた中で芽生えた猜疑心というか、自分が生き抜くためには騙されてはいけないという猜疑心からも、本来だったら手を取り合える仲だったかもしれないけど、やはり殺すという決断をして。

 大階段のシーンは本来、最初に義時を殺して次に実朝を殺すという献立でしたけど、思いもよらぬ仲章というよく分からない奴を殺してしまい、そのパニックもあるんですけど、最終ゴールは実朝という公暁なりのプランがあったので、最後に実朝を殺しました。でも、恨んでいた相手が本当はいい奴だったって、結構きついじゃないですか、殺す側にとっては。それは薄々、公暁も分かっていたはずなんですよ、「こいつが別に悪いわけじゃない」と。実朝にもそう言っていますし。でも殺さなければいけない、自分が生きるために。だから実朝が最後、自分の小刀を捨てて頷いた時は結構、苦しかったですし、斬った後に「父の敵をとった」という名目の下やっていましたけど、やっぱり気持ちは晴れないんですよね。というより、彼の呪いが解けていくというか、やっと自分の犯したことの重大さに気づいていくというつもりでやっていました。

 【鎌倉殿の13人 主な“退場者”】番組公式サイトの「登場人物」欄にあるキャラクターのうち、劇中、その最期や鎌倉を去ったことが言及された人物。カッコ内は討った人物、要因(※印は推定、遠因)(★は13人衆)

 <第1話>千鶴丸(善児)

 <第3話>源頼政(宇治の平等院で自害=三善康信の文)、以仁王(奈良へ逃げる途中に落命=三善康信の文)

 <第5話>堤信遠(北条宗時)、山木兼隆(※北条宗時)、工藤茂光(善児)、北条宗時(善児)

 <第7話>長狭常伴(※三浦義村)

 <第9話>江間次郎(善児)

 <第10話>大庭景親(上総広常)、佐竹義政(上総広常)

 <第11話>平清盛(病死※後白河法皇&文覚の呪い)、義円(平盛綱=平安後期の武将、高橋左衛門尉とも※源義経の教唆)、伊東祐親(善児)、伊東祐清(善児)

 <第15話>上総広常(梶原景時&善児)

 <第16話>木曽義仲(源範頼軍)、今井兼平(※源範頼軍)

 <第17話>源義高(藤内光澄)、一条忠頼(仁田忠常)、藤内光澄(源頼朝の御家人が斬首、北条義時が立ち会い)

 <第18話>安徳天皇(壇ノ浦の戦い、入水)

 <第19話>源行家(ナレ死「鎌倉方に捕まり、首をはねられるのは、これより少し後のこと」=語り・長澤まさみ)

 <第20話>藤原秀衡(※病死)、静御前(北条義時「静殿は鎌倉を去り、その後は行方知れず」)、藤原頼衡(善児)、里(源義経)、源義経(※藤原泰衡軍、自害)、弁慶(※藤原泰衡軍)

 <第21話>八重(鶴丸を救出したが、川に流される)

 <第22話>後白河法皇(※病死)、河津祐泰(工藤祐経の襲撃=第2話)

 <第23話>工藤祐経(曽我五郎)、曽我十郎(※仁田忠常)、曽我五郎(梶原景時が斬首宣告)

 <第24話>岡崎義実(曽我事件への関与を疑われたが、その功により斬首は免れ、出家。鎌倉を去る)、大姫(病死)、源範頼(善児)

 <第26話>源頼朝(落馬、病死)

 <第27話>佐々木秀義(三浦義村「もう死にました」)

 <第28話>★中原親能(三幡の乳母夫だったが、三幡が病死。出家し、鎌倉を去る→京にいる=第32話)、★梶原景時(上洛を計画したが、北条義時が阻止→首桶=第29話)

 <第29話>★三浦義澄(病死、北条時政が振り払う)、★安達盛長(比企能員「奸賊、梶原景時がいなくなりましたな。義澄と盛長も去り、もはや宿老たちの評議はあってないようなもの」)

 <第30話>平知康(「鎌倉殿にいらんと言われたのだ。(京に)帰るしかなかろう」)、阿野全成(八田知家)

 <第31話>頼全(源仲章の沙汰)、★比企能員(仁田忠常)、せつ(トウ)、道(※北条方)、比企時員(※北条方)

 <第32話>比奈(義時と離縁、鎌倉を去る)、仁田忠常(自害)、一幡(※「一幡様、トウと水遊びいたしましょう」)

 <第33話>源頼家(トウ)、善児(トウ)

 <第34話>北条政範(病死→平賀朝雅が毒を盛る=第38話)

 <第36話>畠山重保(三浦義村&和田義盛勢)、★足立遠元(政子に相談し、鎌倉を去る)、畠山重忠(愛甲季隆)、稲毛重成(三浦義村)

 <第38話>★北条時政(伊豆へ流罪→「北条時政は、この後、78年の生涯を閉じた。鎌倉を追われてから、10年後のことである」=語り・長澤まさみ、第42話)、りく(時政と伊豆へ→京へ=第42話)、平賀朝雅(北条義時の命令)

 <第40話>和田胤長 (陸奥へ流罪)

 <第41話>★和田義盛(北条義時の騙し討ち&三浦義村の弓隊)、和田義直、和田義重(北条勢&三浦勢)、巴御前(和田義盛から「生き延びろ」)

 <第42話>八田知家(「俺はこの仕事を最後に、隠居しようと思っている」「最後に夢のある仕事に出会えた。この船が完成すれば、思い残すことはない」)

 <第45話>源仲章(公暁)、源実朝(公暁)、公暁(三浦義村)

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