藤井竜王、王手にも油断なし　「有利ということはない」11日王将戦第4局

対局場検分に臨む渡辺王将（左）と藤井竜王（撮影・西尾　大助、会津　智海）
Photo By スポニチ

　将棋の第71期ALSOK杯王将戦（スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催）7番勝負第4局は11日、東京都立川市「SORANO　HOTEL」で開幕する。4連覇を狙う渡辺明王将（37）＝名人、棋王含め3冠＝が連敗を3で止めるか、藤井聡太竜王（19）＝王位、叡王、棋聖含め4冠＝が奪取か。開局は午前9時。

　第4局にして新王将へ王手をかけた。藤井は5冠に向け、圧倒的に有利な星取りにも慎重に言葉を重ねた。

　「スコアの上では先行した状況ですが第1、3局は苦しい局面もあった。内容を含めて考えると有利ということはない。気持ちの上ではこれまで同様に臨めれば」。11勝2敗と対戦成績も大きく差をつけるが、視線は指し手の細部へ向く。渡辺から1勝する難易度はシリーズ初戦でも王手をかけた第4局でも変わりない。

　2つの記録を視界に捉えた。王将戦7番勝負で、初出場した棋士が開幕3連勝した例は藤井で2度目。第35期の1985年度、当時23歳の中村修六段が名人を含む3冠の中原誠王将から千日手指し直しを含む3連勝。その後2局を落としたが、4勝2敗で奪取した。

　その23歳4カ月が現在まで破られることのない最年少王将記録でもある。19歳7カ月の藤井はあと1勝でこの記録を更新。さらに初挑戦でストレート奪取というのも、初の快挙となる。

　第3局の後、渡辺が制した6日の棋王戦第1局は自宅でネット観戦した。「終盤まで難しい局面の多い将棋。最終盤で、渡辺王将が的確に寄せの網を絞られた印象です」。指し回しの正確さに改めて、警戒を強めた。（筒崎　嘉一）

　【立川市内でレセプションパーティー】夜には立川市内のホールで、関係者のみのレセプションパーティーが行われた。コロナ下のため欠席した清水庄平市長（76）はビデオメッセージを寄せ、「将棋ファンだけでなく日本中が注目している第4局。名勝負になることを期待しています」と話した。