渡辺王将、百戦錬磨の平常心 「じたばたしても、何もない」11日王将戦第4局

[ 2022年2月11日 05:30 ]

東京・立川のSORANO HOTELに到着し笑顔を見せる渡辺王将(左)と藤井竜王(撮影・西尾 大助、会津智海)
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 将棋の第71期ALSOK杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)7番勝負第4局は11日、東京都立川市「SORANO HOTEL」で開幕する。4連覇を狙う渡辺明王将(37)=名人、棋王含め3冠=が連敗を3で止めるか、藤井聡太竜王(19)=王位、叡王、棋聖含め4冠=が奪取か。開局は午前9時。

 崖っ縁に追い込まれている渡辺王将は、拍子抜けするほど落ち着き払っていた。「特別どうこういうのはないんです。(これまでと)変わることなく臨みたいと思います」と、持ち前の明瞭な口調に変わりはない。「じたばたしても、何もないので」。勝手知ったる王者は常に平静だ。

 昨年のクリスマスイブで豊島将之九段(31)に持将棋指し直しの末、劇勝して以来、年明けから公式戦5連敗。うち3局は王将戦だった。第一人者としては慚愧(ざんき)に堪えない長いトンネルから抜け出したのが6日の棋王戦5番勝負開幕局。挑戦者・永瀬拓矢王座(29)の入王作戦を手厚く阻止して白星をつかみ取った。「ずっと負けていたので、全体の気持ちとしてはよかった」とかすかな笑みを浮かべる一方で「この棋戦(王将戦)に関しては後がないですから」と沈着な一言を続けた。現在の立ち位置について自分に有利なバイアスをかけることなど決してしない。

 思い起こせば第3局の最終盤。藤井の放った117手目[先]9三歩の王手に対し、同王なら勝ち目もあった。すでに終局近しの空気に流されて最善手を逃した痛手は確かに残っている。それを踏まえての第4局、どう臨むのか。「もうちょっと全体的、細かいところの意識。それは多分自分にしか分からない。言っても仕方ないでしょう」と、珍しく素っ気ないコメントも残した。反撃の決意は自分の胸だけに秘めている。(我満 晴朗)

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2022年2月11日のニュース