神田沙也加さん 周囲に不安な思い明かしていた「喉の手術をしなきゃいけないかも 歌えなくなったら…」

[ 2021年12月20日 05:31 ]

神田沙也加さん死去

神田沙也加さん
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 女優の神田沙也加(かんだ・さやか)さんが18日に札幌市内の宿泊先ホテルの高層階から転落し、同日午後9時40分に搬送先の病院で死去した。35歳。東京都出身。同日昼ごろにホテルの14階部分の屋外スペースで血を流して倒れているところを発見された。警察が事故と自殺の両面から経緯を調べている。衝撃的な悲報に、全国が悲しみに包まれた。母の歌手松田聖子(59)と、父の俳優神田正輝(70)のショックは計り知れない。

 沙也加さんの所属事務所は19日午前4時、公式サイトで死去を報告。あまりにも突然の悲報に、伯父で社長の蒲池光久氏は「まだ信じ難く、受け止めることができない」と悲痛な思いをつづった。

 聖子も深い悲しみの中におり、コメントは出さなかった。19日は都内でディナーショーを予定していたが、やむなく中止となった。

 沙也加さんは主演ミュージカル「マイ・フェア・レディ」の札幌公演のため札幌市に滞在。18日は正午からの公演に出演予定だったが、入り時間になっても姿を見せず、連絡も取れなかった。このため関係者が警察に通報し、捜索を依頼した。

 発見されたのは上演開始後の午後0時55分ごろ。ホテルの14階部分のバルコニーのような場所で、血を流して倒れている状態で見つかった。滞在していた22階の部屋の窓から転落したとみられ、搬送先の病院で死亡が確認された。警察は事件性はないとみており、転落の経緯を調べている。関係者は「現時点で遺書は見つかっていない」と話している。

 18日の公演は代役で上演された。ただ、出演者らの間で動揺が広がり、19、20日は中止となった。

 関係者は「夢だった舞台の公演中に、なぜ命を落とすことになってしまったのか」と打ちひしがれている。「マイ・フェア・レディ」の主人公イライザ役は、沙也加さんの憧れだった。第二のママと慕った大地真央(65)が長年演じた役で、沙也加さんは観劇のために地方遠征するほどだった。2018年にその座をつかみ、今回が再演だった。

 沙也加さんの身に何が起きていたのか。周囲は「思い当たる節がない。信じられない」と一様にショックを受けている。その中で、ある関係者は「思い悩むことがあったとすれば、喉の問題でしょうか」と話した。

 亡くなる前日の17日も稽古に参加。普段通りに務めたが「本人は喉の調子が悪かったことを気にしていた」(公演関係者)。「手術をしなきゃいけないかも」と明かし、「手術をして、もし歌えなくなったらどうしよう」と不安な思いを漏らしていたという。

 幼い頃から歌うことが好きだった沙也加さん。母はトップアイドルの松田聖子。祖母から「歌手だけにはなってはいけない」と厳しく言われてきた。15歳で歌手デビューしたものの、うまくいかずに芸能界を一時離れたこともある。だが、努力を重ねて見事に復活。声優業に活路を見いだすと、次に進んだのはミュージカルの道。歌うことがやっぱり好きだった。

 「歌えなくなるかも」という悩みは、人生を揺るがす一大事だったのは間違いない。沙也加さんがどんな思いを抱えていたのか、もう聞くことはできない。

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