藤井2冠 3冠挑戦でタイトル戦ラッシュ 叡王戦5番勝負進出決定 7月は最多8局

[ 2021年6月27日 05:30 ]

感想戦での藤井聡太2冠(日本将棋連盟提供)
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 将棋の藤井聡太2冠(18)は26日、東京都内で行われた叡王戦本戦トーナメント決勝で斎藤慎太郎八段(28)を下し、豊島将之叡王(31)=竜王との2冠=に挑む5番勝負(7月25日開幕)進出を決めた。藤井にとっては現在進行中の棋聖戦、29日開幕の王位戦に続く3つ目のタイトル戦出場。過密スケジュールをこなしながら自身初の「3冠」に挑戦する。

 終盤は、どこか見慣れない光景だった。先手の斎藤が85手目で持ち時間を使い切り1分将棋に突入。藤井は16分も余している。「形勢が苦しいまま1分将棋に入ると苦しくなる。少しでもアヤというか、勝負できるところを残しておく方がいいのかなという気持ちでした」と涼しい表情の藤井。普段は中盤から惜しげもなく持ち時間を消費する棋風だが、この日に関しては「余裕」を感じさせる指し回しだった。

 戦型は角換わり腰掛け銀。5年ほど前に大流行したスタイルも、近年は矢倉や相掛かりに押され気味だ。その「渋い」戦いに導入されて駒組みを進めたものの、斎藤の巧妙な作戦を受け「タイミング良く攻め込まれ、苦しい瞬間が長い将棋だった」と回顧する。押される時間が続く中盤戦は、腰を低く構えてひたすら我慢。それでも受けばかりでは面白くない。隙あらば相手王に迫る態勢を築き上げてペースを握り返し「最後に勝負をかけて戦機をつかむことができました」と、会心の一譜を柔らかく総括した。

 昨年12月3日に始まった段位別予選からトーナメントを一気に7連勝。1月末に高校を自主退学したことで「対局以外は(愛知県瀬戸市の)家で将棋に取り組む時間が多くなった。大きな変化です」と自らの充実ぶりを実感している。7月には最多で8局をこなさなければならないものの「なるべく同じ時間に眠り、同じ時間に起きるようにしています」。コンディションの整え方もちらりと明かした。

 叡王戦で対戦する豊島とは過去1勝6敗で「手ごわい相手」と認める。だからこそなのか「こちらが頑張れば番勝負が盛り上がる。まずはそれを目指したい」と口元をきりりと締めた。王位戦を含めれば豊島との「12番勝負」が待つ。この日の対局後は早速叡王戦用のポスター撮影もこなし、3冠への一歩を踏み出した。

 《棋聖戦もつれれば数日おきに移動→対極の可能性》藤井は棋聖戦、王位戦で7月は過密スケジュールだったが、叡王戦が加わったことで、さらに「密」になった。棋聖戦は2連勝で初タイトル防衛に王手をかけている。18日の第4局以降までもつれると、王位→棋聖→王位→叡王と数日おきに、移動を伴うタイトル戦の対局。棋聖戦が最終第5局に突入すると、棋聖、王位、叡王のトリプルタイトル戦に同時進行で臨むことになる。

 《大谷も刺激に》叡王戦は今期から菓子メーカーの不二家が主催。同社CMにも出演中の藤井は「家で『(カントリーマアム)チョコまみれ』をいただき、とてもおいしかった。また食べてみたい」とPRした。5番勝負の食事に関しては「地元のおいしいものをいただけるのは楽しみ」とニコリ。記者会見では藤井同様、大活躍中のMLBエンゼルス・大谷に関しても「野球自体は詳しくないのですが、名前を見かける機会が多くて刺激になってます。二刀流も知ってます」と話した。

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