渡辺明JT杯選手権者、高見泰地七段を破り3連覇へ好発進 日本シリーズJT杯

[ 2020年9月22日 18:19 ]

将棋日本シリーズJTプロ公式戦2回戦第4局で勝利した渡辺明JT杯選手権者(名人、王将、棋王との3冠)
Photo By スポニチ

 将棋日本シリーズ「JTプロ公式戦」の2回戦第4局が22日、東京都渋谷区のシャトーアメーバで指され、渡辺明JT杯選手権者(36=名人、王将、棋王との3冠)が114手で高見泰地七段(27)を破り、準決勝に進出した。

 3連覇に向けて、渡辺が好発進を遂げた。2年ぶりの対戦は高見の得意戦法を受けて相矢倉へ。15回目の出場となる渡辺は「この棋戦においては序盤戦は対策を練らないことが多い。短い持ち時間に対応できるような調整を心掛けてきた」という。中盤の激しい攻防を抜け出し渡辺がリードを押し広げ、「2二歩から1二玉と逃げ越した辺りで、自分の方が詰みまでの時間が一手長いのかなと感じた。その辺りで勝ちになったかなと思った」と振り返った。

 JT杯は例年全国各地で公開対局として開催されるが、今期は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、決勝までの全局がスタジオでの無観客対局となった。「対局しているすぐ隣で解説があって、目の前にお客さんがいるというのがJT杯の見慣れた風景。各地方の皆さんにとっては年に1回の楽しみだったと思うので、お客さんやお子さんは残念だったと思う」と思いをめぐらせた。

 さらに、例年JT杯と同時開催している「テーブルマークこども大会」も中止となった。参加予定者と保護者に向けて、「自分が子供の頃に道場に行けなかったり大会に出れなかったりしたら大変だったと思う。子どもの頃の1年間は伸びる子は伸びるので、お子さんが強くなるためには親御さんのサポートが大事になってくる。多くのお子さんがサポートを得て、将棋に取り組める環境にあればといいなと思う」と呼びかけた。

 10月17日に行われる準決勝では豊島将之2冠と対戦。渡辺にとっては、郷田真隆九段以来の大会3連覇も見えてくる大事な一戦となる。「3連覇に挑むチャンスというのは生涯でもこの1回だけだと思う。3連覇は過去に1例しかなく非常に価値が高い記録。それに臨めるこの機会を大事にして次戦に準備したい」と意欲を語った。

続きを表示

2020年9月22日のニュース