フォークや、行け!朗希対策はまり阪神・中野が二盗→三進 最後は大山が“魂の一振り”7度目決勝打

[ 2023年6月5日 05:15 ]

交流戦   阪神2-0ロッテ ( 2023年6月4日    甲子園 )

6回1死三塁、大山は右前に先制適時打を放つ(撮影・北條 貴史)
Photo By スポニチ

 その一振りに魂を込めた。この日、初めて三塁まで走者を進めた6回。絶好の先制機で大山の執念が剛腕を討った。カウント2―2から、佐々木朗の失投といえる、浮いたフォークを右前へ運んだ。悲鳴と歓声が交錯する中、一塁上で4番が誇らしく胸を張った。

 「(中野)拓夢が塁に出た時から、何とか得点圏に行ってくれないかなとずっと思っていた。三塁まで来てくれたので、あとは“事を起こす”というか、何とかバットに当てるという気持ちで」

 過去2年、交流戦で対戦経験があるものの、年々レベルアップしていく佐々木朗を退治するのは、容易なことではなかった。大山も「凄かった。真っすぐも速いし変化球も切れて制球も良かった」と回想。だからこそ意思統一の重要性が、ものをいう一戦となった。

 6回の攻撃は今岡打撃コーチが今季初めて呼び掛けた円陣から始まった。「そんな難しいことは言ってない」と岡田監督は言い、今岡コーチも「“ミーティング通りで大丈夫だよ”と確認するための円陣」と説明。試合前ミーティングを受け、ナインが佐々木朗対策として徹底したのが大きく分けて2点。

 まず「今日だけは見送り三振OK」――。低めを捨て、四球をもぎ取ることを最優先に位置付けて挑んだ。そして「出たら走れ」――。

 指揮官は「こっちがフォークと思ったら、盗塁のサインでいけたから。それがよかった」とうなずいた。6回に中野が決めた二盗も、ノイジーへの4球目、フォークの時だった。そして1死後、大山への4球目には再びフォークがワンバウンドになり、中野は三進(記録は暴投)。この直後に、主砲の快打が飛び出したのだった。

 「少ないチャンス、その場面は“ここだ”と自分で思ったので、1点取れてよかった」

 大山の決勝打はこれでチームトップ、リーグ2位タイの7度目。頭脳フル回転でつかみ取った価値ある1勝だ。 (八木 勇磨)

 ▼阪神・今岡打撃コーチ(大山の決勝打に)ナイスバッティングでした。浮いた高めをしっかり捉えて、勝利を勝ち取る一打だった。打席で冷静だったことが結果につながった。

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年6月5日のニュース