ソフトB・藤井「絶対に勝つという思いで」最高の恩返し 戦力外になった古巣・広島斬りでチームトップ5勝

[ 2023年6月5日 05:03 ]

交流戦   ソフトバンク3-2広島 ( 2023年6月4日    マツダ )

<広・ソ>マツダスタジアムで5勝目を挙げた藤井はウイニングボールを手に笑顔でポーズ(撮影・岡田 丈靖)
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 ソフトバンクの藤井皓哉投手(26)は4日の広島戦で5回1/3を5安打2失点に抑え、チームトップの5勝目を挙げた。2020年に戦力外通告を受けた古巣が相手で、移籍後初のマツダスタジアムで応援の重圧を感じつつも、粘り抜いた。6回1死満塁で降板したが、その後、中村晃外野手(33)の好守などバックにも支えられた。チームは交流戦3勝3敗に戻した。

 マツダスタジアムのヒーローインタビューに呼ばれるのは、広島で中継ぎをしていた18年6月6日の日本ハム戦のプロ初勝利以来2度目だった。藤井は三塁側のファンだけではなく、右翼席にも丁寧に頭を下げた。広島時代は力を発揮できなかったかつての本拠地で移籍後初登板し、チームトップの5勝目。成長した姿を示して、最高の恩返しをした。

 「絶対に勝つという思いで(マウンドへ)上がりましたし、走者を出しても粘れました。カープの応援は聞いて、懐かしい気持ちになりましたし、改めて凄いと思いました」

 初回は1死一塁で矢野に盗塁され、失策もからんだ1死三塁で秋山に先制の中前打を許した。ただ、応援の圧力にも負けず2回無死二塁を無失点でしのぐと、4回1死一塁は坂倉を遊ゴロ併殺打。5回2死一、三塁のピンチは矢野を150キロ直球で空振り三振と走者を背負っても追加点は与えず、6回の味方の逆転を呼び込んだ。

 リードをもらった6回は3つの四球で1死満塁とし、降板した。斉藤和巳投手コーチが「5回の壁は抜けてほしい」と課題が再び顔を出したが、田浦が代打・上本に左前打され、1点差でなお1死満塁。3番手・大津から松山が放った一塁線の打球を体勢を崩しながら好捕した中村晃が、本塁へ正確に送球した。藤井の勝利を守るビッグプレーだった。

 「カープにいた頃は変化球でカウントが取れなかった」と振り返るように6年間で1軍登板は14試合。戦力外通告を受け、独立リーグを経て21年12月に育成で入団し、昨季開幕前に支配下登録されたが、オープン戦で広島に投げた時は「赤いユニホームを見ると自然に力が入った」と意識した。だが、昨季55試合で防御率1・12と自信をつけ「もう、大丈夫」と戻ってきた古巣で勝利に貢献した。

 思い出の地でのウイニングボールだが「こだわりはないし、嶺井さんが誕生日なので」と少し、笑った。過去を乗り越え、成長した26歳右腕のさばさばとした口調が、なんとも力強く感じられた。(福浦 健太郎)

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