【スポニチスカウト部(14)】山梨学院大・宮崎一樹 走攻守そろったダイヤの原石 大学まで無名の…

[ 2023年5月9日 11:30 ]

大学で才能が一気に開花した宮崎(撮影・柳内 遼平)
Photo By スポニチ

 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第14回は山梨学院大の宮崎一樹外野手(4年)。山梨学院時代は目立つ存在ではなかったが、山梨学院大で急成長。昨冬、大学日本代表候補合宿に招集された成長株の現在地に迫る。 ドラフト速報

 中学時代も山梨学院時代もレギュラーになれなかった宮崎が、ドラフト戦線を突っ走る。昨秋の関甲新学生リーグ戦の9試合でリーグ最多の24安打、5本塁打、19打点をマーク。同年12月に松山で行われた大学日本代表候補合宿に招集され、一気にドラフト候補に成り上がった。夢のプロ入りへ向けて「常にベストを出せるようにプレーしています」とアピールを続ける。

 投げれば遠投112メートルの強肩外野手。走れば昨冬、大学日本代表候補合宿の50メートル走で参加選手最速の5秒91を叩き出した「黄金の足」を持つ。なぜ、これほどのポテンシャルを備えた選手が無名だったのか、答えは打撃力にある。山梨学院時代は逆方向への打撃を得意とするタイプで高校通算本塁打はわずか4発。公式戦の出場機会は限られていた。

 そんなダイヤの原石に運命の出会いがあった。素質を見抜いた山梨学院大・須田喜照監督が1年秋から起用を続けた。公式戦で高いレベルの投手との対戦を経て「打ち取りに来る球を工夫して打つことを打席で覚えられた。自分の可能性に気づくことができた」。2年秋には72キロから約10キロも増量。肉体改造と磨き抜いた打席での勝負勘で3年秋には文句なしの数字を残し「中学、高校で打席数の少なかった自分に須田さんがたくさん打席に立たせてくれた。経験として凄く大きかったです」と感謝する。

 手の届く位置までたどり着いた日の丸への思いも強い。例年、大学日本代表のメンバーを選考する合宿は6月に神奈川県平塚市で行われる。「春は残りの試合で自分の持ち味を発揮して、まずは平塚(合宿)に行きたい。ライバルはたくさんいるんですけど、代表を目指したいと思います」。日の丸のユニホームに袖を通すことができれば、プロ入りにも近づく。(柳内 遼平)

 ☆球歴 平山小1年時に調布リトルリーグで野球を始める。平山中では調布リトルシニアに所属。山梨学院では3年春、夏に甲子園出場。山梨学院大では1年秋からリーグ戦のベンチ入り。憧れの選手はカブス・鈴木誠也。

 ≪“親孝行”のためにプロ目指す≫宮崎の実家は東京都日野市でそば店の「増田屋」を営んでいる。1階が店舗で2階が住居。幼少期から「そば」は身近な存在だったが、宮崎はアレルギーを持っているため仕事場に近づくことすらできず「アレルギーがなければ継いでいたかもしれない」と言う。現在の夢はプロ野球選手で「自分は選手として実績がなかったのに私立に通わせてもらった。“親を一番、喜ばせられるのは何かな”と考えた時にプロ野球選手になることかなと思った」と胸の内を明かした。感謝の思いがプレーの原動力だ。

続きを表示

この記事のフォト

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年5月9日のニュース