2軍で圧倒的存在感 阪神・ドラ3井坪は3年後の1軍へ着々 改良重ねたフォームと積極姿勢で打率1位

[ 2023年5月9日 09:00 ]

2軍戦で活躍中の阪神・井坪
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 鳴尾浜で牙を研ぐ若虎を取り上げる「2軍リポート」。第2回は阪神ドラフト3位ルーキーの井坪陽生(18)が明かす打撃好調の要因と、小学生時代から心がけている姿勢を紹介する。

 軸足にほとんど体重を乗せた状態から、始動する。そのフォームは、どこか巨人・中田翔に似ている。井坪は新人離れした類いまれな打撃センスで、圧巻のパフォーマンスを披露し続けている。

 「自分はすり足で、(ピッチャーが球を離してから)ポン、ポン(というタイミング)で打ちたいタイプ。今のフォームが、一番しっくりきています」

 ここまでウエスタン・リーグ26試合で打率・329(82打数27安打)は堂々の1位(8日時点)。リズミカルなフォームから抜群のミート力を発揮し、高いコンタクト率で広角に打ち分ける。

 そんな井坪だが、高校までは一度もフォームが定着することはなかったという。打撃改造に着手したのは、今春キャンプ。巨人・丸やOB金本知憲氏のヒッチ(バットを上下に動かして打つ動作)を動画などで研究して改良を重ね、たどり着いたのが今のフォーム。「この構えが一番、力が入りやすいし、体が回りやすい。あれ以上は肩が入らないところで構えているのでベスト」。バットを体の近くに置いて最短距離でバットを出す。ボールの内側をたたく強い意識が、好結果を生む。さらに、打席内で心がける“姿勢”がある。

 「やっぱりリトルリーグの経験が染みついていると思いますね」

 硬式の「八王子シニア」に所属していた小学6年時に身につけたスタイルがある。軟式野球のバッテリー間の距離が16メートルに対し、リトルリーグは14メートル02。そのため投手の球速が仮に120キロなら、理論上では打者の体感速度は160キロ前後になる。空振りする危険性が高く、追い込まれると後手に回る。だから積極的に好球必打。その姿勢はプロの世界に入った今も変わらない。「ファウルも見逃しも一緒。もったいないじゃないですか。ストライクは3つしかない中で、そこは振ってファウルになっても次に勝負ができるので」と言葉に力を込める。

 プロ入り直後に描いた青写真は「3年ぐらいで1軍で活躍できるように」。だから結果を残しても「まだ(課題があるので)急ぎたくはない」と冷静に足元を見つめる。満を持して1軍の舞台に立つべく、今は日進月歩の進化を期す。(石崎 祥平)

 ◇井坪 陽生(いつぼ・ひなせ)2005年(平17)3月17日生まれ、東京都八王子市出身の18歳。七国中では「八王子シニア」に所属し、3年時にアジアチャレンジマッチでU15日本代表選出。関東第一では1年秋に4番に座り、レギュラー定着は2年秋。甲子園出場はなし。高校通算32本塁打。22年のドラフト3位で阪神入団。1メートル77、86キロ。右投げ右打ち。

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