巨人・丸が初サヨナラ弾 NPB史上初2試合連続ルーズベルトゲーム勝利 4試合連続2桁安打4位浮上

[ 2023年5月5日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人8-7ヤクルト ( 2023年5月4日    東京D )

<巨・ヤ>9回、サヨナラ本塁打の丸(背番8)をナインは「丸ポーズ」で出迎える(撮影・西川祐介)
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 巨人・丸佳浩外野手(34)が、4日のヤクルト戦で自身初のサヨナラ本塁打を放った。7―7の9回2死に右翼席に運ぶ2号ソロで、2カード連続勝ち越しに導いた。チームは前日に続いて8―7の接戦を制し2連勝。2試合連続の「ルーズベルトゲーム」での勝利は、プロ野球史上初となった。この日は3年ぶりに同日に3試合のサヨナラ決着が出るなど、ゴールデンウイークの列島を沸かす劇的な試合が続いた。

 16年目の初体験だった。7―7の9回2死、カウントは3ボール。丸は「甘ければしっかりいこうかなと」と狙っていた。サイド右腕・小沢の145キロ直球を捉えた打球は、右翼席に達した。

 「いい感触だったし、興奮しすぎて(ベースを)回っている時のことは覚えていないです」。今季最多の4万860人が詰めかけた本拠地のお立ち台で表情を崩した。サヨナラ打は6度目だが、アーチは初めてだった。

 4月19日のDeNA戦で右足を痛め、途中交代。5月2日のヤクルト戦で9試合ぶりにスタメンに戻った。ベンチスタート期間は「できることをプラスに考えてやってきた。監督から打撃フォームでご指導いただいたので、練習に充てる時間になった」。主に上半身のフォーム修正をしながら、復帰に備えてきた。原監督は「非常にいい一本で決めてくれた。これをきっかけにと言ったら失礼かもしれないけど、本来の丸に戻ってくれるとありがたい」と称えた。

 今季は16年目で初めて、目に見えない部分を改良していた。「スパイクの中で足が動く感じをなくそうと思って、中の素材を補強してもらった」と開幕前にスパイクの内側の革を厚くし、よりフィットする形に変えた。細部にこだわり、両足の踏ん張りが利くようになった。打率・197と苦しむが「数字はあまり見られたものじゃないですけど、自分の感覚の中では悪くない」と己を信じ抜いた。

 同い年の中田翔が2回に足を痛め途中交代。右太腿裏肉離れと診断され、出場選手登録を抹消されることが決まった。ケガの苦しさを味わっただけに「今まで翔に助けられていた部分が凄くあった。帰ってくるまで、みんなでカバーしていかないと」と思いやった。

 打線は4試合連続で2桁安打し、今季2度目のサヨナラ勝ち。借金を2に減らし、4位に浮上した。前日に続いて点を取られて、取り返しての末に8―7での勝利。2試合連続の「ルーズベルトゲーム」勝利は、プロ野球史上初めてだ。指揮官も「手に汗握ることがたくさんありすぎて。もうね、結構乾いている。それぐらいね」とうなった大型連休中に2日続いた「最も面白い野球」。演出したのは苦しみ抜いてきた丸の一振りだった。(川島 毅洋)

 ≪NPB史上初≫巨人が2試合連続8―7でヤクルトに勝利した。巨人の年間2度以上の8―7勝利は、05年の3度を筆頭に8度目だが、2試合連続は初めて。他球団でも例はなく史上初の2試合連続ルーズベルトゲーム勝利となった。

 ≪3年ぶり1日にサヨナラ3試合≫4日は巨人、DeNA、ソフトバンクの3チームがサヨナラ勝ち。1日にサヨナラ試合3試合は、20年7月10日の中日3X―2広島(延長10回)、オリックス4X―3日本ハム、ソフトバンク2X―1楽天(延長10回)以来3年ぶり。前回は全てサヨナラ本塁打での決着だった。

 ▽ルーズベルトゲーム 両軍が点を取り合い、最終的に僅差の8―7のスコアで決着する野球の試合のこと。2桁得点となると大味な展開になりがちで、野球を愛したフランクリン・ルーズベルト第32代米大統領が「一番面白いゲームスコアは8―7」と語ったことに由来。同名の池井戸潤氏作の小説やテレビドラマもヒットした。

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