楽天1メートル90右腕「デカ松」松井友飛 プロ2年目初勝利!高校0勝からの飛躍「凄く不思議ですね」

[ 2023年5月5日 05:20 ]

パ・リーグ   楽天6-0ロッテ ( 2023年5月4日    楽天モバイル )

<楽・ロ>プロ初勝利を挙げた松井友(撮影・篠原岳夫)
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 天国の父にささげるプロ初勝利だ。プロ2年目で待望の白星、楽天・松井友は昨年3月5日に肺がんで他界した父・真二さん(享年60)を思い出していた。「ようやく勝てました。これからも見守ってください」。この日は母・真智子さん(55)が地元から応援に駆けつけた。「お母さんに渡して、仏壇に供えてもらいます。最近お墓もできたので、オフに報告します」と記念球をぎゅっと握りしめた。

 初回から3回まで先頭に安打を許す展開も粘り抜いた。最速148キロの直球にカットボールやカーブを織り交ぜた。「高校時代はテレビの中の人だった」という同学年の4番・安田と初対戦。2打数無安打に抑え「今は同じ舞台に立っているので負けたくない」とうなずいた。5回3安打無失点でチームを2カード連続勝ち越しに導いた。

 故郷の石川県穴水町は能登半島に位置する小さな町だ。少子化の影響で母校・穴水高は部員不足に悩まされている。2年秋季大会には、近隣校に部員を派遣してもらう「レンタル制」を利用して出場した。3年間で公式戦では1勝もできずに高校野球を終えた。

 野球をやめるつもりだったが、甲子園の中継を見ていると「やりきっていない」という思いがこみ上げた。8月下旬に金沢学院大の合同練習会に参加。大学1年秋のリーグ戦で3勝を挙げて勝つ喜びを知ると急成長した。

 「高校時代に1勝もできなかったのに、プロで1勝できるのは凄く不思議ですね」。日陰を歩んだ無名の高校球児がスポットライトを浴びた。「地元の人たちの励みになりたい」。両親にも応援してくれる穴水の人たちにも、まだまだ恩返しを続けていく。(重光 晋太郎)

 ◇松井 友飛(まつい・ともたか)1999年(平11)10月11日生まれ、石川県穴水町出身の23歳。小3で野球を始め、穴水中では外野手。穴水高では1年春からベンチ入り。金沢学院大では1年秋と2年春に最優秀防御率&ベストナイン、2年秋に神宮大会出場。21年ドラフト5位で入団。チームに同姓の松井裕がいるため、愛称は「デカ松」。憧れの投手はダルビッシュ有。趣味はサウナ。1メートル90、87キロ。右投げ右打ち。

 ≪今季1メートル90以上の投手4人目勝利≫松井友の身長は1メートル90。1メートル90以上の投手で今季プロ初勝利を挙げたのはいずれも1メートル90の山下(オ)、内(楽)、横川(巨)に次いで4人目。

 ▽高校野球の部員レンタル制度 適当な相手校がないなどの理由で連合チームが組めない部員数不足校は、野球部員の派遣を受けることができる。母体となるチームは最低5人は在籍している必要があり、他校からレンタル後の部員数は10人を超えてはならない。

 ▽穴水町(あなみずまち) 石川県の能登半島の中央に位置し、鳳珠(ほうす)郡に属している。2015年に約8700人、20年は約7800人だった人口は、同町公式サイトによると23年3月末の時点で7482人(男3595、女3887人)。65歳以上の老年人口が多く、過疎化も続いているが、豊かな自然に囲まれ、移住者の受け入れも積極的に取り組んでいる。主な出身者は大相撲の平幕・遠藤。

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2023年5月5日のニュース