広島・森下が復活の今季初登板で6回2失点 新井監督「彼にとっては今日が開幕。いい投球」

[ 2023年5月5日 06:00 ]

セ・リーグ   広島2ー3DeNA ( 2023年5月4日    横浜 )

<D・広>6回、ベンチ前でキャッチボールする森下(撮影・島崎忠彦)
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 頼れる右腕が先発マウンドに帰ってきた。広島・森下暢仁投手(25)が今季初登板となった4日のDeNA戦で6回を5安打2失点の好投。自身に勝敗は付かなくても、昨年10月の右肘手術からの復活をチーム内外にアピールした。試合は同点の9回に4番手・松本がサヨナラ被弾に沈み、2連敗のチームは再び借金生活に転落。本拠地マツダに帰る、きょう5日からの阪神3連戦で巻き返す。

 昨秋の右肘クリーニング手術『術式=右肘関節鏡視下骨棘(こっきょく)切除・右肘関節内滑膜切除』から約7カ月。投球練習を再開する過程で患部ではない別の箇所に違和感を覚え、一進一退を繰り返した苦悶(くもん)の日々を森下はこう振り返る。

 「(手術を)受ける前は(骨棘を)取ればいいだけと簡単に考えていました。数カ月もすれば投げられるだろうと思っていたら、何かが違う、何かが違うな…と。難しかったです」

 待望の復帰登板は超満員の横浜。6回84球を投げ、5安打2失点の結果を「悪くなかったと思う」と振り返った。まだ万全とは言えない。それでも随所に底力を披露する。直球は最速150キロ。2軍戦では思うに任せなかった変化球も、アドレナリンの出る1軍では制球してみせた。

 「勝てる試合だったと思います。抑えないといけない場面を抑えていたら、松本がああいう形で降りることもなかったのかな…と」

 悔やんだのは2点優勢の5回だ。先頭・桑原にカウント2―2からの内角直球を左中間席へ運ばれて1点差。2死後、中前打の京田に二盗を許し、代打・大和には右前同点打を浴びた。チームが今季3度目のサヨナラで敗れ、右腕は自らの責任に言及。主戦級のプライドだった。

 「彼にとっては今日が開幕。術後初のマウンドだけど、いい投球だったと思う」。森下をねぎらう新井監督。今後の投球間隔については「明日どういう状態になっているか、報告を聞いてから。1軍の公式戦は体にかかる負荷が違うから」と慎重な姿勢を示した。

 敵地であっても、バックスクリーン左から左翼を真っ赤に埋めたファンの声援が心に響き、背中を後押ししてくれた。コロナ下に陥った20年から活躍し、声出しが制限された中で投げてきた右腕には初めての経験。素直な思いも口にした。

 「応援があると(改めて)プロ野球選手なんだなって。全く違う雰囲気の中で投げさせてもらいました」

 声援を力に変える。感謝の念を抱き、森下は完全復活へ向けて一歩を踏み出した。(江尾 卓也)

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2023年5月5日のニュース