楽天・岸の150勝生んだ少年時代から変わらぬ美しいフォーム 父・孝一さん「こいつはセンスがある」

[ 2023年5月3日 05:30 ]

パ・リーグ   楽天5ー1ロッテ ( 2023年5月2日    楽天モバイル )

名取北高時代の岸(家族提供)
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 ノーヒッター記念日に地元の仙台で決めた。楽天の岸孝之投手(38)が2日、ロッテを相手に8回1失点で今季初勝利を挙げ、史上51人目の通算150勝に到達した。宮城県出身では初。昨季の最終登板から5度目の挑戦で、西武時代の14年にノーヒットノーランを達成した5月2日に節目の白星を挙げた。

 社会人野球の七十七銀行で監督を務めた父・孝一さんによると、物心がつく頃にはボールやプラスチックのバットで遊んでいたという。宮城球場(現楽天モバイル)で社会人の試合を観戦した時も「外野の芝生席でずっと寝転がって、試合なんて見てませんでしたよ」と懐かしむ。

 どこにでもいる野球少年だったが、当時から類いまれな野球センスの持ち主だった。「言ったことがすぐにできたので“こいつはセンスがあるな”と思いましたね」と回想する。「インステップしすぎてるぞ」「軸足に体重が乗っていないぞ」。父から助言を受けると、いつもあっという間に修正してみせた。

 野球関係者が「美しい」と口をそろえるフォームは昔からほとんど変わっていない。「小4の時に“横から投げたい”と言ってきて1試合だけ投げたら、2イニング目には肘が痛くなったみたいで。体の動きが縦回転なんだという説明をしたら、すぐにフォームを戻しました」と明かす。

 通算150勝という節目で故郷に錦を飾った息子に「なんだかんだで野球が好きなんでしょう。ここまでよくやってきた。できるだけ長くやってもらいたいね」と目を細めた。

 ≪高校時代を知る雄平打撃コーチも才能絶賛≫アマチュア時代から岸の才能は光っていた。東北高出身の雄平打撃コーチと岸は同学年。対戦する機会はなかったが、3年夏の大会で初めて岸の投球を見て「“何だ、この投手は!”って思いました。奇麗で格好いいフォーム。球速は140キロぐらいでも切れと制球力が凄かった」と衝撃を受けたという。東北学院大・星孝典監督にとって岸は2学年後輩。後に西武でもバッテリーを組んだが、仙台育英高3年夏の大会で岸と対戦し「1年生で眼鏡をかけていた岸のカーブに三振しました」と振り返る。2年春のリーグ戦で東北福祉大を完封して注目を浴びたが「その試合の1週間前に“チェンジアップを覚えたんで試合で投げていいですか?”って聞いてきて。度胸だけじゃなく、投げてみたら完成度も凄かった」と証言した。

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