サラリー総額2位の379億円でも露呈した層の薄さ ヤンキースが地区最下位と低迷

[ 2023年5月3日 08:58 ]

三振に倒れ、ベンチへと引き揚げるヤンキースのアーロン・ジャッジ(AP)
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 ヤンキースが15勝15敗でア・リーグ東地区の最下位に低迷している。首位レイズとは8・5ゲーム差。同地区のオリオールズ、ブルージェイズも好調。レッドソックスも復調の気配を見せてきた。

 ヤンキースが勝てない理由はけが人の続出。開幕時のサラリー総額はメッツに次ぐ2位の2億7770万ドル(約379億円)だったが、1日(日本時間2日)にアーロン・ジャッジが負傷者リストに入り、同球団では早くも13人離脱。メジャーワーストで、戦線を離れた選手の今季の年俸を足すと1億6000万ドルにのぼると、スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」のケン・ローゼンタール記者が弾き出している。その上で同記者は、21年の1月下旬から22年の8月上旬までに行った即戦力を獲得するトレードで、ファームの力のある若手を多数放出してしまったため、穴を埋められないのが問題だと指摘している。

 常勝球団ヤンキースには、「世界一か否か」のメンタリティーがある。ジェームソン・タイヨン、スコット・エフロス、フランキー・モンタス、ハリソン・ベイダー、アンドルー・ベニンテンディ、ジョイ・ギャロらを獲得したが、結果を出したトレードはタイヨンだけ。一方でロアンジ・コントレラス(今季3勝1敗、防御率3・58)、ヘーデン・ウェスネスキ(2勝1敗、5・24)、ケネス・ワルディチュク、JP・シアーズら有望な若手を失った。

 ブライアン・キャッシュマンGMは在任期間25年間で一度も負け越しがなく、ハル・スタインブレナーオーナーは去年9月に4年の契約延長を与えた。だが、憤慨しているヤンキースファンも少なくない。昨季のトレードデッドラインではルイス・カスティーヨを獲得するチャンスもあったが、選んだのはモンタス。現在のヤンキース打線はOPS(出塁率+長打率)・672で25位だが、特に下位打線が結果を残せていない。

 資金力がある球団でなぜこのように選手層が薄いのか。ヤンキースはオフに5億6200万ドルの補強をし、王者アストロズとの差を埋めようとした。しかし現段階でチームの置かれた状況は厳しい。

 エース、ゲリット・コールの先発試合は6勝0敗だが、それ以外は9勝15敗。今季からMLBではよりバランスの取れたスケジュールを採用し、同地区内の対戦数が減った。序盤とはいえ、レイズなど同地区のトップチームとの差が大幅に開けば、今後けが人が戦列に戻ってきた時に追いあげても届かない事態になる可能性はある。ローゼンタール記者は混乱が続くシーズンになると予測している。

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