都八丈 2日連続雨天中止乗り越え6年ぶり夏1勝!宿舎転々も気持ち切らさず…離島に吉報

[ 2022年7月17日 05:30 ]

第104回全国高校野球選手権東東京大会・2回戦   都八丈10ー0都日本橋 ( 2022年7月16日    都営駒沢 )

<都日本橋・都八丈>都日本橋にコールド勝ちし、応援席へあいさつに向かう都八丈ナイン(撮影・沢田 明徳)
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 第104回全国高校野球選手権大会(8月6日から17日間、甲子園)の出場を懸けた地方大会は16日、継続試合を含む268試合が行われた。東東京大会では、2日続けて雨天順延を強いられた都八丈が都日本橋との2回戦で10―0の7回コールド勝ち。東京都心から南方に約300キロ離れた八丈島に、2016年以来6年ぶりとなる初戦の白星を届けた。

 試合ができる喜び。グラウンドで表現した都八丈ナインは誇らしげだ。10得点で7回コールド勝ちし、6年ぶりの初戦突破。就任3年目の木村嘉尚(よしひさ)監督にとっては初白星で「声を出し合って練習通りの成果。(コールドは)想定していなかった。整列する姿を見て泣きそうになった」と喜んだ。

 足でかき回し、実に9盗塁。その脚力は八丈島の地形を生かした練習で鍛えた。坂道ダッシュだ。急な坂を上り下りしながら下半身を強化し、走り勝つ野球を体現。さらに2回に決勝となる先制適時打を放った秋田充(3年)は「島ならではといえば、海で泳いで体のバランスを鍛えられた」と島の利点を野球につなげ、体幹を強化してきた。

 実戦感覚を補うための工夫もした。新型コロナの影響もあり、他校との練習試合はおろか、部員も12人と少ないため紅白戦さえできない。それでも島在住の硬式野球経験のある大人たちと試合を行い、都内に宿泊した前日は東京ドームシティのバッティングセンターで打ち込んだ。バーチャルの対戦相手は楽天のエース則本。本番では10安打を浴びせた。

 部員数が少ないからこそ、チームワークも光る。菊池絆主将(3年)は「部のグループLINEを使いながらコミュニケーションを大事にした」と自負。秋田が試合前の整列時と、プレー中にもずっこける場面があった。「(わざとではなく)つまずいた」と弁明したが、転んだ直後にチームが盛り上がり、笑顔になったのも仲の良さである。

 2日間雨で中止。宿泊先を転々とし、ようやく迎えた初戦だったが、菊池絆主将は「悪い緊張はなかった。雨のおかげ」と笑った。3年生はコロナ禍で1年の夏と秋、2年春と出場できなかった。2年夏は初戦で都城東に大敗したが、その悔しさも晴らした。最高成績はベスト16。ホテル生活をまだまだ続ける。(中村 和也)

 《スタンドに応援団100人》都八丈のスタンドには約100人の応援団が駆けつけた。仕事などで島に戻った人もいるが「大声援」がナインを後押しした。ダメ押しの中前適時打を放った菊池絆主将の父・真二さん(47)は「(息子が)ミスしないように見ていた」と語れば、母・理華さん(48)も「ドキドキしっ放しだった」と見守った。スタンドでは島伝統の「八丈太鼓」を使った応援も検討されたが、鳴り物を使用した応援が禁止のため、かなわなかった。

 ▽都八丈 1948年(昭23)に東京都立園芸新制高等学校八丈分校として開校し、50年に現校名となる。八丈島唯一の高校で現生徒数は140人(男子67人、女子73人)。野球部は77年に創部。最高成績は09年などのベスト16。東京都心から約300キロの距離に位置する八丈島は7つの温泉があり、くさや、焼酎などが名産品として知られる。羽田空港からは飛行機で片道約55分。大型客船では約10時間30分かかる。自動車の登録は品川ナンバー。

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2022年7月17日のニュース