DeNAの新潟発「シーズン中キャンプ」でサバイバル過熱中

[ 2022年6月2日 08:30 ]

DeNA・石井コーチ
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 「異変」に気づいたのは5月10日の新潟だった。DeNA―巨人6回戦(ハードオフ・エコスタジアム)。若手をはじめ、野手ほぼ全員が早出練習に参加した。それは、キャンプ中のような雰囲気でもあった。

 ベテランの大和、助っ人ソトの姿もあった。開幕以降、この人数で早出練習がにぎわう光景は初めて。ある球団スタッフから「今日から、やりますよ」の声が聞かれた。

 当時のチーム状況は、主力の宮崎、佐野、大田が負傷で離脱中。全てプレーでの発症で「キャンプの練習が足りず、シーズンに影響しているのでは?」と話す球界関係者もいた。とはいえ、2月の春季キャンプは、新任の石井琢朗野手総合コーチを中心に練習量は増加。球界でも話題になった。

 新潟からの取り組みは、負傷者が続出する中、もう一度キャンプを思い出し気を引き締める意味合いが強い。5月19日の取材で石井コーチに「早出練習がキャンプのようだ」とぶつけると、「そうしないとダメだなと思った。我慢と継続です」との返答だった。

 「異変」に気づいてから3週間後、同31日のオリックス戦。2―1の8回先頭で代打・蝦名が左前打。無死一、三塁から関根がセーフティースクイズを決めた。その後の1死一、三塁では代走の三塁走者・知野が本塁にヘッドスライディングで二塁手の野選を誘発した。

 レギュラー定着を狙う「1・5軍」の野手陣が、2点加点のダメ押しの原動力に。新潟からの取り組みの成果が表れた場面だと感じた。

 5月は17失点(8日・広島戦)、1イニング8失点(28日・西武戦)もあったが、11勝11敗の勝率5割に踏みとどまった。我慢と継続が効いた。石井コーチは「結果が出るのは2、3年後」とも言うが、生き残りを懸けて戦う選手は、もちろん目の前のプレーで最高の結果を求めている。

 野手陣に始まった新潟発の「シーズン中キャンプ」。そのことを知りDeNAの戦いに目を向けると、ナインの動きにより興味が増すかもしれない。(記者コラム・大木 穂高) 

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2022年6月2日のニュース