楽天・藤井がプロ初勝利 東洋大時代は先発ゼロも堂々6回零封「やっとここまでこられた」

[ 2022年4月29日 05:30 ]

パ・リーグ   楽天2―1ロッテ ( 2022年4月28日    ZOZOマリン )

<ロ・楽>初勝利のウイニングボールを手にする藤井(撮影・長久保 豊)
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 こみ上げてくるものがあった。「やっとここまでこられた。素直にうれしい」。2年目でプロ初勝利。楽天・藤井は、石井監督からウイニングボールを受け取ると、笑みをたたえながら涙を拭った。

 「凄く緊張した」という初回をわずか8球で3者凡退。2回以降もテンポよく「0」を刻んだ。勝ち投手の権利が懸かった5回が最大のピンチ。1死から連打で一、二塁も「点を取られるのは当たり前。逃げない」と開き直り、松川をフォークで空振り三振、高部を高め144キロ直球で中飛。6回4安打無失点で初勝利を手にした。

 スポーツ推薦の枠に入れず一般推薦で入学した東洋大では、ライバルの陰に隠れた存在だった。DeNA・上茶谷、ソフトバンク・甲斐野、中日・梅津、オリックス・中川圭、広島・末包が同学年。今季プロ1年目の末包も早々に1軍で活躍し「刺激をもらっている。僕が一番デビューが遅いので、肩を並べたい」と言う。大学でのリーグ戦登板は11試合で全て救援登板。主に練習試合で爪を研いだ。3年まで監督だった高橋昭雄氏は「球は速かったけど、他に良い選手が多くてチャンスがなかった。プロの1軍で投げられるようになったんだから大したものだよ」と目を細める。

 記念球は静岡で闘病中の祖父母にプレゼントする。幼少期に野球を教えてくれたのが祖父・小沢立身さん。「できれば手渡ししたい」。今季は7月13、14日に静岡・草薙で日本ハム戦が行われる。ここからの2カ月で「勝利を積み重ねたい」と頼もしく言い切った。(重光 晋太郎)

 ◇藤井 聖(ふじい・まさる)1996年(平8)10月3日生まれ、神奈川県出身の25歳。富士市立で外野手から投手に転向し、3年夏の静岡大会は2回戦敗退。東洋大では東都1部通算0勝1敗。社会人のENEOSに進み、19年に社会人日本代表に選出。20年都市対抗で東邦ガス戦で勝利投手となった。同年ドラフト3位で入団。1メートル76、80キロ。左投げ左打ち。

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2022年4月29日のニュース