巨人・山崎伊がプロ初勝利!2年目右腕6回零封 幼少期、選手名鑑に名前書き足したGファン

[ 2022年4月29日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人7-0DeNA ( 2022年4月29日    横浜 )

<D・巨>原監督(左)とウイニングボールを手に笑顔の山崎伊(撮影・白鳥 佳樹)
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 巨人の2年目右腕・山崎伊織投手(23)が28日、DeNA戦で6回3安打無失点と好投しプロ初勝利を挙げた。チームでは今季6人目のプロ初勝利。同一シーズンに6投手が初勝利を挙げるのは、球団では12年以来10年ぶり。4月までに初勝利6人は、プロ野球史上初となった。首位快走のチームは、今季20勝に両リーグ一番乗り。29試合目での20勝到達は、原政権下では最速となった。

 07年3月22日。まだ少し肌寒さの残る春の日だった。小学2年だった伊織少年は、新聞の朝刊に巨人選手の名鑑一覧を見つけ、母・美佐さんにお願いした。「お母さん、僕の名前も書いて」――。余白に名前と似顔絵を描いてもらい、運命の歯車が静かに回り始めた。

 兵庫県明石市出身。阪神のお膝元だが、高校3年時に82歳で他界した祖父・沢谷義正さんや、母の影響で幼少期から「YG」マークの帽子をかぶって走り回った。東京ドームで生観戦した際は同郷で、まだ背番号61だった坂本のユニホームを着て観戦。この日、憧れの先輩からは5回2死一、二塁のピンチで声を掛けられ、5-0の6回にはダメ押しの左前適時打で援護を受けた。

 最速149キロの直球にスライダー、ツーシームなどを織り交ぜ、6回を散発3安打無失点。3度目の先発でプロ初勝利をつかみ「もう一度、先発させていただいたので絶対に抑えようと頑張りました」とはにかんだ。

 20年ドラフト2位は、明石商では3年春にセンバツ出場も控え投手で出場なし。東海大では3年時に春秋連続でリーグ戦MVPを獲得したが、右肘じん帯を部分断裂した。両親にも事後報告するほどの固い決意で、じん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受けたのが、20年6月。昨春の大学卒業時は塁間でのキャッチボールがやっとだった。だが、1年後、故障前最後に登板した横浜でプロ初勝利。「懐かしい。ここでケガをして手術して、ここで初めて勝てた」と感慨に浸った。

 チームは原政権下で最速の29試合目での両リーグ20勝一番乗り。4月までに6人目のプロ初勝利は、プロ野球史上初めてだ。小さな体に大きな夢を抱いた運命の日から5516日。たくましい青年に成長した右腕が、今度は少年たちに夢を与える。(花里 雄太)

 ◇山崎 伊織(やまさき・いおり)1998年(平10)10月10日生まれ、兵庫県出身の23歳。明石商では3年春のセンバツで8強も控えで出場なし。東海大では3年春、秋に首都大学リーグMVPを獲得して大学日本代表入り。20年6月に右肘じん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受け、同年ドラフト2位で入団。1メートル81、81キロ。右投げ左打ち。

 ≪自ら右前適時打!打率10割≫山崎伊は4-0の6回2死三塁で右前適時打。「いいところに落ちてくれました」。デビュー戦だった3月26日の中日戦でも適時打を放っており、2打数2安打2打点の打率10割だ。手術明けのため、今後は登録を抹消する予定。桑田投手チーフコーチは「今年はしっかりと球数と登板間隔を空けていく。そうすれば、来年からはローテーションをきっちり回っていける」と説明した。

 ≪4月までに初勝利が6人は史上初≫2年目の山崎伊(巨)が登板4試合目でプロ初勝利をマーク。巨人の今季プロ初勝利は堀田、戸田、赤星、大勢、平内に次いで6人目。巨人で同一シーズン初勝利6人はプロ野球初年度の36年を除くと12年(宮国、星野、高木京、田原、小山、笠原)に並ぶ最多。なお、4月までに初勝利6人はプロ野球史上初。

 ▼巨人・原監督(山崎伊は)精度もスピードも、良いときに近くなっていますね。(手術を乗り越え)腕を振って、思い切って体を使って投げられることがどれだけ素晴らしいことか、本人が一番分かっていることだと思います。

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