阪神・岩貞が“立ち止まる”1日「6年経って復興して良かったとは何年経っても言えない」熊本地震から6年

[ 2022年4月16日 11:02 ]

阪神・岩貞
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 どれだけ時間が経過してもその「使命」は変わらない。刻々と時間が経過していく中、阪神の岩貞にとって「4月14日」は静かに“立ち止まる”1日だ。故郷を襲った熊本地震から6年。変わり果てた町並みの様子、復興してきた現在の姿が頭の中で交錯する。

 「6年か…すごく早いですね。町も変わって(復興して)きてますけど、決して終わったことにはできないので。6年経って町が戻って良かった、とは何年経っても言えない」

 毎年、シーズンオフには甚大な被害を受けた熊本県益城町を訪問している。震災のむごさと、たくましく再生していく様子を進行形で目にしてきた。岩貞は直接、被災はしていないものの熊本に住む家族や親戚が恐怖にさらされた。幼少期に友人と待ち合わせ場所にしていたスーパーは跡形も無く倒壊。電話口で「俺たちの待ち合わせ場所が…」と涙する友人の声に胸を痛めた。「地震によって生活が変わった方も、まだ仮設(住宅)で暮らしている人もいます。そういった面でも僕らは野球しかないので」。 プロ野球選手ゆえ、1年のほとんどを故郷以外の場所で過ごす。物理的に離れてはいるが目の前の1日、数年単位で熊本に何ができるか、あらゆる視点で考えてきた。1つの答えが17年からシーズン中の成績に応じて取り組む復興支援。先発から中継ぎに転向した昨年からは勝利数ではなく「ホールド数×5万円」の寄付もしくは相当金額分の野球用品の寄贈に変更。今年は20ホールド、50試合登板をノルマに掲げる。

 「熊本の方々に喜んでもらって、なおかつその成績によって貢献できたり。そういうことができる立場にあるので。1人でも、2人でも、元気になってくださる方がいるのならば僕は一生懸命頑張りたい」。故障で出遅れたため、今月9日に1軍昇格。当日の登板はなかったが4月14日がやってくれば、いつも気は引き締まる。(記者コラム・遠藤 礼)

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