大谷包囲網を破る鍵はスライダー 打撃は焦らずストライクを 伊東勤氏が見た二刀流

[ 2022年4月16日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス5-10レンジャーズ ( 2022年4月15日    アーリントン )

<レンジャーズ・エンゼルス>4回途中6失点だった大谷(撮影・光山 貴大)
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 【伊東勤 視点・投手編】ハイムに痛恨の満塁弾を浴びた大谷だが、勝敗の分岐点は前打者のウィリー・カルフーンの打席にあった。2回1死一、二塁。158キロの直球で1―2と追い込んだ4球目。ベース板の上で鋭く落ちる大谷としてはイメージ通りのスプリット。これを見極められた。160キロ直球でファウルされた後の6球目のスプリットも見切られ、最後は四球。満塁にしてしまった。ハイムには0―2からのスプリットが全く落ちずに被弾した。

 大谷は昨年1年間フル回転。相手チームは膨大なデータを入手し分析している。これは推測だがスプリットを見極めたW・カルフーンは大谷の投球のクセが分かっているのではないかと思う。今後、相手チームは彼のようなスプリットの見極めに優れた選手や大谷とタイミングが合っている選手らを起用。チーム全体で大谷攻略に挑んでくる。

 この包囲網を打ち破るための鍵になるのがスライダーだと思う。ゲームの中でスプリットの出来や相手の対応を見極めてスライダーを効果的に交ぜていけばいい。大谷にとって対応力が問われる厳しい一年になる。

 【打者編】ホームランが出ていないとはいえ、大谷の調子が悪いとは思えない。積極的に初球から振りにいく打席もあるし、ヒットも出ている。昨年と違うのは相手投手の攻めが厳しいことだ。どこまで意識しているか分からないが、捕手が外角に構えているのに内角の胸元に腕を振って思い切り投げ込んでくる。左投手の場合は内角速球と外角へのスライダー。走者がいなければ大胆に内角を突いて、走者がいれば“ヒットならOK”とばかりに低めの変化球でかわしにくる。

 7試合でノーアーチ。その原因の一つに相手の執拗(しつよう)な内角攻めに対して、大谷が多少強引に高めのボール球を打ちにいっている点がある。いい角度で上がってもスタンドまで届かない。ストライクを捉えれば、おのずと飛距離は伸びると思う。もう一つ気になるのは、ストライクゾーンのジャッジが大谷と審判で微妙にずれていること。昨年成績を残し注目選手となったことで、審判側の見る目も厳しくなっているようにも見える。これも真の一流打者へのハードル。焦らず乗り越えてほしい。(スポニチ本紙評論家)

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