阪神・佐藤輝 岡田彰布に並ぶ球団新人歴代2位の18号 父の日に贈る甲子園自身初の左方向弾

[ 2021年6月21日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神1ー2巨人 ( 2021年6月20日    甲子園 )

<神・巨>6回2死、佐藤輝は左越えソロを放つ(撮影・大森 寛明)
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 阪神のドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が20日の巨人戦で球団新人歴代2位の80年岡田彰布に並ぶ18号を放った。劣勢の6回に近大の先輩でもある畠の外角低め直球を巧みに捉え、本拠地・甲子園球場では初の左越えの一撃だ。2連敗の中で2戦連発の奮戦。同最多の69年田淵幸一(スポニチ本紙評論家)の22本も視界に捉え、量産態勢に入った。

 佐藤輝が甲子園の沈んだ空気を一瞬でよみがえらせた。好機が巡ってこなくても、ひと振りで1点を取れる。長距離砲の持ち味を最大限に発揮した。

 「ちょっと打球が途中で失速していたので、どうか…と思いましたけど、追いかける場面でしたし、ホームランになって良かったです」

 2点を先制された直後の6回2死。近大の4年先輩にあたる畠の直球を捉えると、スライス回転しながら左翼ポール際に飛び込んだ。「いい投手なので、1本出せて良かった」。試合前練習であいさつを交わしたばかり。本番でも強烈な“あいさつ代わりの一発”となった。

 外角低めの152キロに対して強引に引っ張らず、浜風も味方につけた。甲子園では8発目で、初めて逆方向に運んだ。打球速度155キロ。飛距離108メートルはいずれも自己最遅&最短。どの方向でも打ち込める才を改めて見せつけた。こんな打撃ができるのだから球団新人歴代2位に並ぶ一撃も途中経過でしかない。

 「僕の中では(岡田さんは)監督をされていた時しか見たことがないですけど、すごい方だと思うので、そういった方に並ぶことができたことは非常にうれしい」

 今季4度目の2戦連発は空砲に終わり、2連敗。悔しさは残っても、プロ選手として初めて迎えた「父の日」に描いたアーチは格別だ。幼少期から支えてくれた父・博信さん(54)に届けた。

 「一番応援してくれていて、一番身近で支えてくれているのが父。勝ちたかったですけど、個人的に1本打つことができて良かったですし、喜んでくれていると思う」

 小学2年の「父の日」に描いた思い出の似顔絵はいまも実家に残る。高校時代に贈ったタンブラーも毎日愛用しているという。

 テレビ観戦で勇姿を見届けた博信さんは「レフト方向はオープン戦以来ですね。初球ホームランも初めてだし、いいスピンかかってました。長いシーズンの中でああいうホームランも大事だと思います」と振り返り、「いいプレゼントをしてくれました。本当に親孝行な子です」と感激していた。(長谷川 凡記)

 《球団新人最多は22発》佐藤輝(神)が6回、左越えに18号ソロ。阪神の新人選手では69年田淵幸一の22本に次いで、80年の岡田彰布に並ぶ2位になった。左打者ではすでに球団新人最多で全体でも1リーグ時代の46年大下弘(セネタース)20本、2リーグ制以降最多の98年高橋由伸(巨)19本に次ぐ3番目。

 ▼岡田彰布氏 俺の記録に並んだとか、佐藤輝にしてみれば眼中にないと思うし、バッティングを見れば、いずれ抜くだろうとは思っていた。今日のホームランを見ても、あの打ち方で入ってしまう。決していい打ち方とは言えない中でも、スタンドまで飛ばしてまう。これはもう持ってる能力が違う。

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