鈴木啓示氏 原監督の抜群の実績、執念を感じさせる大胆采配「やはり巨人は手ごわい」

[ 2021年6月21日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神1ー2巨人 ( 2021年6月20日    甲子園 )

<神・巨>6回、代打・香月(手前左)が見逃し三振に倒れ、ベンチで険しい表情の原監督(中央)(撮影・坂田 高浩)
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 【鈴木啓示 視点】巨人・原監督の思い切った采配に目を見張った一戦だった。

 6回無死一塁の攻撃では中継ぎ陣に不安が残るチーム状況で5回無失点の先発・高橋に代打を送り、結果的に2得点につなげた。さらに1点差の7回2死二、三塁、打者・北條のピンチではカウント2―2で高梨から鍵谷に継投し、無失点で切り抜けた。

 いずれも経験、実績のない監督にはできない、抜群の実績を誇る原監督にしかできない采配だった。近年の原監督の采配は、万人が認めるところ。チーム全体から「この人なら間違いない」という信頼を感じる。

 結果的に裏目に出たが、高橋に代打・香月を送った一手には執念も感じた。見逃し三振直後に珍しくベンチで怒りをあらわにした原監督の姿はそれだけの勝負手だったことを物語った。それが効いたのか。代打策こそ不発も「この回に絶対点を取る」という強い意志がチーム全体に伝わった。2ランを放った松原も肝に銘じて打席に向かったはず。そして結果につなげた。

 阪神からすれば「3連敗だけは避けたい」3連戦だった。その初戦を取り、ひと安心もしていたことだろう。終わってみれば「やはり巨人は手ごわい」という印象が残った。勝てば8ゲーム差にできた試合に敗れ、6ゲーム差。この「差」は大きい。まだまだ阪神の優位は揺るぎないが、楽には勝たせてもらえないことを再確認した。(スポニチ本紙評論家)

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