負担の多いソフトB ロッテは計算通り!?余力あり パ優勝争いのカギ握る救援陣の疲労度

[ 2020年9月15日 06:00 ]

パ・リーグ各球団の先発投球回(左・青い部分)と救援投球回(右・赤い部分)
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 6月19日に開幕したプロ野球は残り50試合を切った。セ・リーグは15日にも巨人にマジックが点灯する状況だが、パ・リーグはオリックス以外5チームに自力Vの可能性がある。クライマックスシリーズ(CS)進出を巡る争いもあり、消化試合はほとんどない。1点の重みが増す中での登板となる救援陣の状況から優勝争いを探る。(記録課・八田 朝尊)

 新型コロナウイルスの影響で120試合制となった今シーズン。試合数は減少したが、6月から、ほぼ毎週6連戦が続いている。オールスター休みもなく、選手の疲労は蓄積している。この時期は救援陣の踏ん張りが鍵になってくる。

 パ・リーグで救援防御率が最もいいのはソフトバンクで2・70。以下、西武3・68、ロッテ3・92と続く。ソフトバンクの救援陣は安定感抜群だが懸念材料もある。救援投手の投球回数253回2/3は2番目に多く、延べ起用人数も247人で楽天の269人に次ぎ2番目に多い。高橋礼、モイネロ、森はすでに30試合以上に登板。モイネロは3日連続登板こそないが、連投が12度もあり、6連戦中の4登板も4度ある。昨年も登板30試合を超えた7月に右膝痛で登録抹消されておりスタミナが心配だ。

 ロッテはチーム防御率4・12でソフトバンクの3・16より1点近く悪い。しかし、今季1点差試合では16勝6敗。逆転負けもリーグ最少の11試合で勝てる試合を落とさない戦略で2位につけている。

 先発の投球回数はリーグ最多の437回。その分、救援陣の負担が軽減されており、投球回数218はパ最少で、ソフトバンク(253回2/3)より35イニング以上少ない。3連投をさせない方針が貫かれており、実際に3日連続登板は守護神・益田に1度(9月3~5日)あるだけで、6連戦中の4試合以上登板は一人もいない。疲れを残さないベンチワークが見て取れる。

 7月下旬に合流した唐川は16試合16イニング連続無失点と好調を持続。さらにトレードで巨人から沢村を獲得。勝ちパターンでの起用が多くなりそうだ。

 ロッテにはもう一つ強みがある。首位ソフトバンクとは昨季17勝8敗、今季もここまで8勝3敗1分けと好相性だ。4点台のチーム防御率もソフトバンク戦では2・68に向上。救援陣に限れば2・25まで良化する。直接対決は12試合も残っており、一気に形勢が逆転する可能性もある。

 パはCSもあり、最後まで息の抜けない戦いが予想されるが、井口監督のリリーフ陣に優しい起用が、ここから効果を発揮するかもしれない。

 ≪セ救援陣最少は阪神で199回≫セ・リーグで救援陣の登板数が最も少ないのは阪神の199回。次いで巨人232回1/3、中日234回1/3となっている。首位の巨人は投球回数こそ阪神より多くなっているが、救援防御率は3・22でリーグトップ。逆転負けはセ最少の8度しかない。20試合以上の登板は中川の29試合を筆頭に鍵谷、高梨、大江、大竹の5人。1人1イニングにはこだわらず、チーム最多の14ホールドを挙げている大竹でも1イニング未満での交代が8度もある。すでにリーグ最多の19人を救援起用している。

 ≪15試合以上登板で唐川だけ無失点継続≫救援投手は投球回数が少ないため1度の失点で防御率が大きく下がる。防御率ではなく無失点登板率(無失点登板÷登板数)でパ救援投手の順位を出してみた。1位は16試合連続無失点中の唐川(ロ)で100%。15試合以上に登板した投手で無失点は唐川しかいない。3位の吉田凌(オ)はホールドこそ3と少ないが、失点した試合はわずか2試合。今後、勝ちパターンでの起用が増えていきそうだ。

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